2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hazard Map based on Numerical snow Avalanche model and Spatio-temporal variation of snow
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21H04601
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
山口 悟 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 上席研究員 (70425510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 浩一 株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 研究室室長 (10180639)
大風 翼 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40709739)
西森 拓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (50237749)
伊藤 陽一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主幹研究員 (70400017)
新屋 啓文 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (80794982)
常松 佳恵 山形大学, 理学部, 准教授 (90722207)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 積雪構造の不均一性 / 吹きだまり / 雪崩予測 / 確率的ハザードアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては, 低温室実験を実施し,風上からの雪粒子の供給と風速に応じて雪面の削剥が起こり,雪紋のような風向に垂直な波状のパターンではなく,風向方向に削剥されたパターンが生じることがわかった. また冬季にニセコの山の尾根周辺に風速計やLiDARを設置し,実際に吹雪が発生して積雪が再配分されている最中の観測を実施し,風速が変動する状況や雪庇が発達する様子を捕えることに成功した.さらに北海道東部の開けた雪原において,吹雪のタワー観測を行い,風速変動に伴う飛雪流量の最大値の評価について検討をするとともに,十分な雪の吹きだまりが形成された状態における吹きだまり内部の積雪密度の分布を取得した. 積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置の開発に関しては,軽量化にむけた装置の基本設計を引き続き進めるとともに,2021年度に作成した積雪の誘電率を測定することで含水状態を測定する試作機に関して,精度検証のための低温室実験を実施した. 予測誤差を考慮した情報発信技術の開発に関しては,本研究で使用するPCQ法において不確定性のある変数が一つの場合(一変数)に対する確率論的ハザードマップ作成手法を確立した. システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験では,2021年度に実施した航空レーザ測量によるニセコアンヌプリ山域全体の積雪深分布およびオルソ画像を,スキー場関係者に公開した.これらはGISソフトを使用することで関係者が自由に拡大縮小して現場の状況を確認することができるため,好意的な反応が得られた.このほか,人工雪崩実験の代わりにスキー場の協力を得て吹雪時に雪庇が発達している最中とその前後に積雪観測を行い,雪庇が不安定な状態から安定化する様子を観測した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては, 低温室実験や野外観測を実施し,現在開発を進めているモデルの改良や検証に使うデータに関して着実に蓄積が行われており,来年以降のモデルの開発も加速することが期待できる. 積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置の開発に関しては,2021年度に引き続き軽量化に向けた装置の基本設計を進めるとともに,各センサーの性能評価を実施するなど来年以降の具体的な試作機作成に向けた準備が整った.予測誤差を考慮した情報発信技術の開発に関しては,本研究で使用するPCQ法において不確定性のある変数が一つの場合(一変数)に対する確率論的ハザードマップ作成手法を確立した. 一方で昨年度と同様に,スキー場の協力による人工雪崩実験に関しては,コロナの影響で実施できなかったが,それに関しては来年度以降に実施する予定である. システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験では,2022年度も数回ニセコに赴き,スキー場関係者との意見交換会を実施するとともに,人工雪崩実験の代わりにスキー場の協力を得て吹雪時に雪庇が発達している最中とその前後に積雪観測を行うなど,スキー場の協力体制を強化するとともに,現場のニーズ把握に務めた. このように一部にコロナに影響で実施できなかった研究内容(人工雪崩実験)もあったが全体としては計画通り進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては, モデル改良のための低温室における風洞を用いた実験や実際に吹雪が発生して積雪が再配分されている際の野外計測も実施することで,吹雪の発達過程における輸送量の時間的な変動と積雪構造の関係に関する理解を進める予定である.さらに購入したLiDAR付きドローンを用いて,吹きだまりの発達過程の詳細を観測することで, 吹きだまりモデルの検証に利用する予定である. 積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置の開発に関しては,具体的な試作機作成に向け引き続き各センサー部の詳細な設計並びに測定手法の改良に向けた低温室実験を実施する予定である. 予測誤差を考慮した情報発信技術の開発に関しては, PCQ法を実際の雪崩ハザードマップへの適用するために必要な雪崩の運動を決める各種パラメータのばらつきを測定するための人工雪崩実験を実施する予定である.またそれらの実験結果をモデルに導入するために,2021年度に開発したPCQ法において不確定性のある変数が一つの場合(一変数)に対する確率論的ハザードマップ作成手法を,多変数へ拡張する方法を検討する. システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験では,我々の生み出す予測情報,観測情報の活用方法に関して継続的にスキー場関係者と意見交換を引き続き実施するとともに,実際に我々の情報を見てもらえる仕組みを構築し現場からのフィードバックをもらいながらシステム全体の改良を進めていく予定である.
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Research Products
(22 results)