2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H04611
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80323096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10431602)
魏 代修 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20785810)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | デアロイング / 接合 / 相分離 / 共連続構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はMg-Feの接合に際し、まずFeの先端に溶出成分となるNi層をメッキし、昇温して固相拡散させることで、Fe-Ni合金層の作製を行った。高温かつ長時間の熱処理を通じて厚さ50μm以上の拡散対の作製に成功した。濃度プロファイル評価から、ロッド最表面でのNi濃度はおおよそ50 at.%でありFe側に向けてNi濃度の連続的な減少が見られた。このFe-Ni拡散対とMgのロッドを突き合わせてホットプレスを行い、金属溶湯脱成分反応を通じたそれらの接合を試みた。反応層の組織観察結果から、共連続組織が発達していることが確認され、脱成分反応が実際に生じていることが確認された。また、試料の引張り試験結果から、50 MPa程度の強度が得られた。破断はFe/Mg界面で生じていることが明らかとなり、その領域の元素マッピングから、反応層とMgの界面において酸素が凝集していることが確認された。Fe-Niの固相拡散後の試料において、ロッド表面に大量の焦げ付きや焼けが見られたことから、今回、そのことが少なからず強度の低下に影響を及ぼしているものと考えられた。そこで一部機械的に表面の焼けを除去した試料において同様の実験を行ったところ、界面に依然酸素が凝集している領域が見られたが、強度としては65 MPa程度まで上昇させることができた。 本年度は、依然十分な接合強度は得られていないものの、室温で互いに相分離する(混ざりあわない)MgとFeの元素同士をFe-Ni層を介した金属溶湯脱成分反応を通じてつなぎあわせることに成功した。今回、提案するプロセスを通じてその接合可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況としては概ね順調に進んでいる。Mg-Feの接合において、Feの先端にNiをつけることに成功し、また脱成分条件等も今回、明らかとなった。接合後の脱成分挙動の調査から、界面において共連続組織の形成が見られており、金属溶湯脱成分反応を通じてFeとMgをつなぎあわせることができることが分かった。よって申請者らが提案している金属溶湯脱成分反応を通じた当接合技術が、Mg-Feに適用可能であることを示すことができた。検討課題としては、酸化の影響等によりその強度が依然十分なものとは言えず、引張り試験の結果においてFe/Mg界面での破壊が律速となってしまっていることが挙げられる。それを解決することが可能となれば、母材中での破断が期待され、MgとFeの強固な理想的機械接合の達成が可能となるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果において、FeとMgの接合界面に形成した反応層とMgとの界面において酸化物が生成していることが確認されており、そのことが界面破断を招く大きな原因となったものと予想された。これは、Fe-Ni合金層中に含まれていた酸素が、酸素との親和力の高いMgに吸い寄せられることでそのような凝集を招いたものと考えられる。酸化膜を一部除去した試料の接合強度が上昇したことからも分かるように、接合界面が清浄であることが重要であると考えられる。このような酸化を抑えるには、Fe-Ni合金層の酸化を事前に防ぐ必要があると今現在考えている。そこで今後は、Mgとの接合前に水素還元炉を通じた熱処理による酸化膜の除去を行い、清浄な状態でMgとの接合を行いたいと考えている。 今年度は、Feの先端にNiの拡散対をメッキにより形成する手法をとったが、今後はFeとMgの中間にFe-Niの合金層を挿入し、あらかじめFeとFe-Ni間で拡散対を形成した試料に対してMgを接合する手法を検討している。中間体であるFe-Ni合金層のNi組成を変化させ、その脱成分挙動及び接合強度を系統的に調査することで、最適な中間層の組成や接合条件を明らかにしていきたい。最終的に、十分な接合強度を達成し、母材破断を今後目指していく。
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