2023 Fiscal Year Annual Research Report
人工トポロジカル構造が誘発するスピンダイナミクスの学理構築と制御技術の開発
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21H04614
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷山 智康 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10302960)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 磁性 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、面内磁化をもつ強磁性薄膜と面内(面直)磁化多層膜(垂直磁化ドット)とからなる積層構造において、磁気ダンピング特性と多層膜の磁気異方性および垂直磁化ドットのサイズとの相関を調査することで、磁気ダンピングの起源を明らかにすべく研究を進めた。 (1)面内磁化薄膜と垂直磁化膜とからなるヘテロ構造におけるダンピング特性評価 面内磁化Fe薄膜/Pt/[Co/Ni]多層膜/Ptヘテロ構造をMBE法により作製し、強磁性共鳴の線幅と共鳴周波数との関係からダンピング定数を算出することで、[Co/Ni]多層膜の磁気異方性とダンピング定数との関係を調査した。[Co(t nm)/Ni(0.6 nm)]多層膜はCoの膜厚tの増加と共にt=0.5 nm付近で面直磁化から面内磁化状態に切り替わることを確認した。t=2.0 nmの面内磁化多層膜をもつヘテロ構造では、Feのダンピング定数が0.013であるのに対して、t=0.4 nmの面直磁化多層膜をもつヘテロ構造では、-0.0039と異常な負の値が示された。 (2)面内磁化薄膜と垂直磁化ドットとからなるヘテロ構造における磁気ダンピング特性評価 負のダンピング定数が見出された[Co(0.4 nm)/Ni(0.6 nm)]多層膜を直径2-30μmサイズのドット配列に微細加工した面内磁化Fe薄膜/Pt/[Co/Ni]多層膜ドット/Ptヘテロ構造に対してドットサイズとダンピング定数との相関を調査した。ドットサイズ30μmの試料では、連続膜の場合と同様にダンピング定数が-0.0083と負の値を示すのに対して、ドットサイズ10μmの試料では、0.0011と正の値に変化した。さらにドットサイズを小さくすると再び負の値に転じ、-0.043と巨大な負のダンピング定数を示すことがわかった。さらに、ドットのある領域とない領域の面積比がダンピング定数と相関を持つことを明らかにした。以上の結果は、ドットのある領域とない領域のうち、面積の小さい領域がFeの強磁性共鳴の線幅を決定していることを示唆している。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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