2021 Fiscal Year Annual Research Report
New production process of solar-grade silicon utilizing liquid zinc cathode
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21H04620
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野平 俊之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (00303876)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 溶融塩 / 電解還元 / シリコン / 液体亜鉛カソード |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽電池用シリコンを、高純度シリカを原料として、低エネルギー・低コスト・高生産性で製造する方法を開発する。従来の炭素熱還元に代わる還元方法として溶融CaCl2中における液体亜鉛陰極を利用した電解還元法を採用し、「電解工程」と「Si析出工程」からなる新製造法の確立を目指して次の二つの要素研究を行う。 ①「電解工程」における液体Zn-Si合金陰極上でのSiO2電解還元の「メカニズム解明」と「実用化に向けた条件最適化(温度、電流密度、セル形状等)」 ②液体Zn-Si合金からの「Si析出工程」の基礎データ取得と、実プロセスを念頭にした条件最適化 本年度は、①に関して、CaOを含む溶融CaCl2中にSiO2が溶解したときのシリケートイオン種を顕微レーザーラマン分光法により明らかにした。その結果を踏まえ、種々のシリケートイオン種が含まれる溶融塩を準備し、液体Zn電極および固体グファイト電極を用いて、反応の電位依存性の検討などの電気化学的挙動解析を行った。次に、液体Zn電極および固体グファイト電極を用いて種々の電位で定電位電解を行いサンプルを作製した。得られたサンプルの断面観察を行った。さらに、Znを酸溶解させ、得られたSiの形態・組成をSEM/EDXで分析し、不純物量をICP-AESで分析した。 ②に関して、実験手法の確立と基礎データの取得を行った。種々の降温パターンでSiを析出させ、断面観察を行った。また、Znを酸溶解させ、得られたSiの形態・組成をSEM/EDXで分析し、不純物量をICP-AESで分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CaOを含む溶融CaCl2中にSiO2が溶解したときのシリケートイオン種をラマン分光法により明らかにすることが出来た。さらに、種々のシリケートイオン種が含まれる溶融塩を準備し、液体Zn電極および固体グファイト電極を用いて、反応の電位依存性を明らかにした。得られたサンプルの分析により、液体Zn-Si合金陰極上でのSiO2電解還元のメカニズム解明が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下のような計画で研究を推進する。 1.溶融NaCl-CaCl2中における液体Zn陰極上でのシリカ電解還元のメカニズム解明 R3年度は850℃の溶融CaCl2中で検討を行ったが、R4年度は、プロセスを低温化する検討として、融点の低い溶融NaCl-CaCl2中で検討を行う。具体的には、750℃と850℃で検討を行い、温度の影響を調べる。液体Zn電極の形状としては、新たに開発したBNるつぼ型液体電極を用いる。また、シリカ電解還元メカニズムの検討として、液体Zn電極に加えて、固体グラファイト電極も用いて比較する。さらに、溶融塩中のシリケートイオン種の影響を調べるために、浴中のO2-/SiO2比を変化させて検討を行う。シリケートイオン種の同定には、R3年度と同様に、顕微レーザーラマン分光法を用いる。以上により、電解メカニズムの解明および最適なO2-/SiO2比の検討を行う。 2.液体合金からのシリコン析出反応の最適化 R4年度は、液体合金からのシリコン析出反応をより詳細に検討するため、新たにブリッジマン炉を購入して検討する。これにより、再現性良く高精度に種々の降温パターンでSiを析出させることが可能となる。実験後は、断面観察を行った後、Znを酸溶解させ、得られたSiの形態・組成をSEM/EDXで、不純物量をICP-AESで分析する。
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Research Products
(9 results)