2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of safe and high-performance secondary batteries based on nanotubes and assessment of their impacts on reduction of greenhouse gas emission
Project/Area Number |
21H04633
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野田 優 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50312997)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 二次電池 / ナノチューブ / 安全・高性能 / 低炭素化 / 技術評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
項目1. 高エネルギー密度・高安全性二次電池の開発:カーボンナノチューブ(CNT)スポンジ膜に多硫化リチウム(Li2Sx)を担持する「半溶解性活物質」の設計思想で高エネルギー密度Li-S電池の開発に取り組んだ。CNT膜に電解質かつ負極安定剤としてのLiTFSIとLiNO3と、活物質のLi2Sxを担持、Li箔とセパレータを積層して溶媒を加える簡易な方法で、全電池を作製し評価した。低粘度の溶媒を最後に添加することで溶媒の正極・セパレータへの濡れ性を改善、50および100サイクル時に電池内容物全質量基準で393および358 Wh/kgcellの高容量を達成した。またコンフォーカル顕微鏡を導入し、塩や活物質担持時や充放電時のCNT膜ベース電極の構造変化の分析環境を整備した。 項目2. 常温でも高温でも動作する二次電池の開発:チタン酸リチウム(LTO)-CNT正極、BNNTセパレータ、リン酸鉄リチウム(LFP)-CNT正極に、イオン液体電解液を用い、100℃で40サイクルの高温動作を実現した。また、全固体電池評価セルを導入し、固体電解質溶液の含浸担持による全固体電池の開発に着手した。 項目3. 電池の製造・利用・廃棄のLCA:電池製造時の環境負荷は、原料選択、高温焼成やドライルームの工程削減で大きく低減する筈である。黒鉛負極とNCM正極からなる現行LIB、次世代のLi-S電池、および本研究で開発しているLi2Sx-塩-CNT正極を用いたLi-S電池のLCAをCradle-to-Gateで実施して比較検討、環境負荷の大きい正極を変えることによる温室効果ガス(GHG)排出削減に加え、分散ろ過溶液含浸という湿式プロセスへの代替の際の溶媒の扱いの重要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目1では50サイクルでの500 Wh/kgcellの目標は未達であったが、サイクル特性が大きく改善し100サイクルで高いエネルギー密度を実現できた。項目2では、100℃50サイクルの目標に対し100℃40サイクルと僅かに目標に届かなかった。なお、この全電池は80℃で100サイクル以上、このLTO-CNT負極とLi箔対極を用いた半電池は100℃で100サイクル以上、このLFP-CNT正極とLi箔対極を用いた半電池は100℃で100サイクル以上動作した。一方で高温動作に有望な全固体電池の開発に前倒しで着手した。項目3では現行電池、次世代Li-S電池、および開発中のCNTベースLi-S電池のLCAがほぼ完了し、GHG排出抑制のための技術開発の要点を前倒しで明確化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通りに研究開発を推進する。項目1では金属Li箔負極起因のデンドライトによる短絡が電池の歩留まりを下げる原因であり、開発中のCNTベース負極に置き換えることでこの課題を解決し、開発を加速したい。加えて2021年度に導入したコンフォーカル顕微鏡を活用し、充放電時の電極の構造変化を解析することで、電極劣化の本質的原因を解明し対策を講じる。項目4では日本学術振興会外国人特別研究員として着任したNatarajan博士が、リチウムイオン電池のリサイクル研究に実績豊富であり、同博士と協同して研究開発を加速する。
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