2022 Fiscal Year Annual Research Report
Knowledge-driven Nanodrug design through understanding of a role of Phase-separated condensate in chemotherapy using Single-Cell endoscopy
Project/Area Number |
21H04634
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 典弥 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00419467)
金蔵 孝介 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10508568)
猪瀬 朋子 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10772296)
笠井 均 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312680)
|
Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
Keywords | 薬輸送システム / membrane-less organelle / エンドスコピー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内には、脂質膜を持たないオルガネラ(membrane-less organelle: MLO)が存在し、細胞の恒常性に重要な働きをしている。MLOの機能異常、例えばスーパーエンハンサー 、核スペックル、核小体などの異常は細胞のがん化に寄与する。近年、低分子量抗がん剤の特定のMLOへの選択的局在化が、その薬理学的特性を決定し、がん細胞の耐性化の要因になり得る可能性が示された。しかし、MLOの選択性や分子間相互作用等は全く不明である。本研究では「単一細胞エンドスコピック増強ラマン分光法(SERS)」とプロテオーム解析を併用して、MLOと抗がん剤の相互作用およびそれによる細胞内MLOの生化学的機能・抗がん剤薬理特性との関係を網羅的に解析する。その知見をもとに、特定のMLOに集積する新規抗がん剤分子および薬輸送システム(Drug delivery system: DDS) を開発し、薬効効果の向上、薬耐性の回避を目標とした新規創薬への指針を示す。 2022年度は、MLOのモデルであるRNAとペプチドのドロップレットを試験管内に作成し、そのドロップレット内の抗がん剤分子レベル小分子と、ペプチドやRNAなどマクロ分子の拡散ダイナミクスを蛍光顕微鏡を用いたFluorescence recovery after photobleaching(FLAP)を利用した小分子拡散解析を行う準備を整えた。また、ラマン分光と組み合わせることで小分子とマクロ分子の相互作用の解析も可能にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一細胞内部へ届けられた抗がん剤分子の局在化、分子相互作用などを解析するため、研究代表者開発の「単一細胞エンドスコピック増強ラマン分光法(SERS)」を更に発展させ、細胞核内での抗がん剤―DNA相互作用、及び薬輸送システムから放出される抗がん剤分子の検出、およびプロドラッグからの抗がん特性分子の放出の検出を可能とした。また、MLOの一つである数マイクロメートルサイズの核小体のみを狙った「単一細胞エンドスコピック増強ラマン分光法(SERS)」を可能とすべく、2022年度にはエンドスコピック顕微鏡を新たに改良・構築し、抗がん剤分子とDNAの相互作用を反映したラマン散乱スペクトルが得られた。また、MLOのモデルであるRNAとペプチドのドロップレットを試験管内に作成し、ドロップレット内での分子拡散効率をFluorescence recovery after photobleaching(FLAP)を利用して解析する準備を整えた。そのため、概ね順調に進行しているといえる。 [繰越分] 合成方法の設計を見直し、新たに作製したプロドラッグナノ粒子の表面修飾最適化後、評価をやり直して実施する必要が生じたため、R6年1月末まで繰り越した。MOLに集積させるためのリガンドを合成時に修飾すると、DDSが凝集してしまう問題が生じたため、再設計後のプロドラッグナノ粒子の表面修飾とその評価をやり直した。しかし、設計後も凝集を防ぐことが不可能であったため、表面修飾後にリガンドを導入する方法に切り替えた。そのための表面修飾手法を最適化した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、MLOの一つである数マイクロメートルサイズの細胞核のみ、または核小体のみを狙った「単一細胞エンドスコピック増強ラマン分光法(SERS)」を行うための顕微鏡を改良・構築したため、2023年度は、単一細胞の任意位置(細胞質または細胞核内など)での抗がん剤の検出を試みる。薬輸送システムによる抗がん剤輸送と、通常のがん治療に用いられているような抗がん剤分子溶液による薬輸送を比較することで、薬分子のM細胞核への輸送効率を検証する。表面修飾後にMLOターゲットリガンドを導入し、細胞内挙動の評価を行う。
|
Research Products
(33 results)