2022 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニクスとのアナロジーで拓くサーマルフォノンエンジニアリング
Project/Area Number |
21H04635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 政宏 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10466857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 芳明 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60345105)
澤野 憲太郎 東京都市大学, 理工学部, 教授 (90409376)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | フォノン / ナノスケール熱輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フォトンとフォノンのアナロジーを切り口とし、学術・技術的に先行する光工学を伝熱工学に取り入れることで、半導体ナノ構造を用いた熱流制御技術であるサーマルフォノンエンジニアリング基盤技術を構築し、伝熱制御に新展開を創出することである。室温においても数十ナノメートル程度の距離であれば、熱を輸送するフォノンの波動性に起因した干渉が熱輸送に影響を及ぼすことが期待される。そのため、そのレンジでフォノン散乱体を形成した半導体薄膜中の熱輸送について調査することは興味深い。 実験的に上記の熱輸送を調査するため、研究分担者がゲルマニウムナノクリスタル内包シリコン薄膜を作製した。そして、別の研究分担者が、その基板を熱酸化シリコン薄膜を有するシリコン基板上に貼り合わせて熱処理を行い、エッチングとCMPを用いて測定対象となる薄膜のみを熱酸化シリコン薄膜上に残すプロセス技術について開発を進め、チップの供給が始まったが、まだ使用できるサンプル面積が小さいため、さらなるプロセス技術の開発が必要である。 研究代表者のグループでは、上記の薄膜の面内方向の熱輸送を調査可能な熱伝導計測マイクロブリッジ系の作製技術開発を確立し、熱伝導計測系を完成させた。また、他のプロジェクトの予算で構築した電気的計測法も合わせて、面内および面直方向の熱拡散を計測できる体制が整った。加えて、3 omega法を用いた熱計測データを解析的なモデリングによって熱伝導率を獲得できるようモデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル作製およびプロセス、熱計測技術開発が順調に進んでおり、全体として概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲルマニウムナノクリスタル内包シリコン薄膜などの熱伝導計測を行い、構造に起因した熱輸送の異方性などについて調査し、構造解析と組み合わせて熱フォノン輸送メカニズムを調査する。また、貼り合わせ技術開発を進め、シリコン基板上のみに成膜が可能な薄膜についても熱伝導計測が可能になるよう技術開発を進める。確立した熱輸送測定技術を用いて、様々な半導体薄膜で特徴的な熱輸送解析を進めて興味深い物理現象の探索を進める。
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