2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21H04646
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小野田 忍 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, 上席研究員 (30414569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔭浦 泰資 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20801202)
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60589117)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | NVセンター / 多量子ビット / ダイヤモンド / イオン注入 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド中の負電荷の窒素(N)空孔(V)は、量子コンピュータや量子暗号・通信のための「室温動作」の固体量子情報素子として期待できる。しかし、実現の鍵となるNVの多量子ビット化は、電子スピン同士が相互作用でき得る距離(~10nm程度)に優れた電子スピン特性のNVを集積することの困難さから、研究例が限られている。研究代表者らは、2019年になり、アデニンをイオン源とする有機化合物を用いて、約10年振りに2量子ビットから3量子ビットへ拡張することに成功した。本年度までに開発してきた有機化合物ビームについて、アデニンでは5個のN原子、フタロシアニンでは8個のN原子を注入できるようになった。本年度は、フタロシアニンイオンビーム注入と熱処理によって最大で5個のNVを含む蛍光点を形成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フタロシアニンイオン注入によって4NV量子ビットの形成が確認できた。さらに5NV量子ビットの可能性のあるものも形成できた。これは当初計画を上回る成果といえる。一方、NV電子スピン同士の双極子結合の計測に至らなかった。研究の状況はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
フタロシアニン等のイオンを注入して4量子ビットを超えるNV形成を行う際、注入したN原子を効率良くNVに転換する必要がある。NVへの転換は高温熱処理によって原子空孔(V)を拡散させることで実現される。NVへの転換を促しつつ、余分な空孔型欠陥を残さない熱処理条件を800℃から1200℃の範囲から探すため、短時間(1分)から長時間(2時間)といった熱処理実験を実施する。また、注入する母材のダイヤモンドの高品質化(低不純物濃度)を継続して取り組む。最後に、4NV量子ビットの量子操作を実現するために不可欠な傾斜磁場を印可できる構造の作製に挑戦する。
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Research Products
(12 results)