2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multi-type simultaneous measurement method in radiation field toward the creation of innovative materials
Project/Area Number |
21H04668
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
若井 栄一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主席 (20360422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 環樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10241564)
岩元 洋介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (10391327)
牧村 俊助 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (10391715)
佐藤 紘一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30378971)
涌井 隆 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 副主任研究員 (50377214)
石田 卓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70290856)
鬼澤 高志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター, マネージャー (70421584)
豊田 晃大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター, 研究職 (30912654)
|
Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
Keywords | 放射線 / 電気抵抗測定 / 陽電子寿命測定 / ハイエントロピー合金 / 同時計測 / 照射損傷 / パルスレーザー照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線下で生じる様々な物質での照射欠陥の基礎理論の構築のため、放射線場でも物質内部の欠陥状態を電気抵抗(ER)測定、陽電子寿命(PAL)測定、及び応力負荷・計測によって同時計測できるシステム構築を目指している。ER測定系では、電流源及び電圧源の購入、ER測定システムの構築、信号線の試料への接続手法の確立、極低温におけるER測定用冷凍機の購入とシステムの評価を実施した。また、応力を負荷できるパルスレーザーを試料に照射し、金属では欠陥に伴うERが増加し、半導体では電子移動度の上昇に伴うERが低下した。PAL測定系では、陽電子線源と試料が接触しない状態で測定を行えるシステムを構築するために必要なアバランシェフォトダイオード(APD)やデジタルオシロスコープ等を購入し、APDを透過する陽電子の信号を得るための作業を進め、まだシステムの構築段階にあるが、線源と試料が接触した状態では、レーザー照射下で材料に応力負荷の環境下で同時計測を実施できた。 Fe系とW系のハイエントロピー(Fe-HEA、W-HEA)等の作製を試み、Fe-HEAは、磁性を持ち、純Wを超える硬さを持ち、その縦弾性率が鉄系材料と異なり、チタン系材料とほほ同じ値を持つことが分かった。W-HEAは、溶解法により、ほぼ均質な結晶化した合金を作製した。また、HEAをナノ粒子あるいは薄膜化し、触媒やフィルター等の新奇な機能材料として、Arガスのグロー放電による貴金属ターゲットのスパッタリングによってSi基板上のHEA薄膜作製とイオン液体を利用したHEAのナノ粒子作製法を試みた。 メカニカルアロイング(MA)法で作製したW系材料の耐照射性評価やW中に混入するガス分子の機械特性に与える影響の調査を進めた。また、高速炉構造材料の評価では、超高圧電子顕微鏡の電子線照射法により、原子空孔の移動度と粒界析出物の安定性を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応力負荷下で、電気抵抗(ER)測定と陽電子寿命(PAL)測定を同時計測する技術の評価と試験を行うため、ER測定システムの構築と冷凍機の購入等を行った後、試料(純金属、合金、半導体)のパルスレーザー照射下でのER計測を実施した。大気中、室温でのレーザー照射下では、発熱に伴う温度上昇を風冷却で抑制することによって、欠陥の形成と成長過程に関するER値の増加を計測できた。また、PAL測定では、APDを用いたシステム開発を進めている。透過する陽電子の信号を得ることがまだできていないが、線源と試料が接触した状態では、レーザー照射中の材料のER測定とPAL測定の同時計測を実施することができた。 Pt、Pd、Ir、Auの各板とRh線を目標組成比になる様にターゲットに貼り付け、99.9999%以上のArガスをフローしながらグロー放電し、Si単結晶基板とイオン液体((EMIMBF4)表面にスパッタした。X線回折(XRD)の解析から、作製した薄膜は、主としてFCC相で、EDS分析からおおよそ目標の組成比であった。Fe系HEAでは、従来の同種の物質と異なる強度特性や弾性率が出現し、高融点のW系HEAでは、粉末調整と組成の最適化によってほぼ均質な結晶状態をXRDで確認した。 MA法で作製したW系材料に関し、500℃、約0.7 dpaまでのイオン照射による耐照射特性を調べ、結晶格子の歪みによる高い耐照射性能を持つことが分かった。また、W中に混入するガス分子が機械特性に与える影響を調査するため、WとTiCの二種類の原材料粉末をガス雰囲気中でMA処理した材料を作製できた。 高速炉構造材料である316FR鋼の照射下のクリープ特性の理解を深めるため、超高圧電子顕微鏡の電子線照射法で、316FR鋼の原子空孔の移動度の測定や炭化物の安定性の評価を実施できた。 以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験環境や試料の形状によって、試料の電気抵抗(ER)に電気的ノイズがのる場合があるため、ノイズ低減のための電源装置の購入を行う。また、半導体試料の種類を増やし、ER変化と半導体試料の関連性を明らかにする。さらに、極低温の試料に重イオンを照射して、試料のER変化を明らかにするための装置設計を行う。陽電子寿命測定では、APDからの信号を適切に得るため、まず、この機器を利用している複数の分野における先行研究者らからの助言を得ることにより、計測装置の改良を施し、その目標を達成する。その後、測定システム全体の構築を整え、ERとの同時測定を効率的に行うことができるチャンバーや治具の最適化を進める。 試作を進めている複数のHEA材の分析や作製方法の改良を進める。スパッタリング法で作製したHEA材では、TEM観察から、ナノ粒子は数nmからサブμmであることが分かったので、収差補正のSTEM/EDSを用いて、結晶構造とナノ粒子内の元素分布を解析し、均質なナノ粒子HEAの作製条件の最適化を図る。また、光触媒の助触媒としての効果についても評価を進める。Fe-HEAでは、詳細な延性挙動の評価と解析を実施する。W-HEAでは、HIP処理を行い、微細な巣を除去し、強度特性と組織観察を進める。 WとTiCの二種類の原材料粉末をガス雰囲気中でMA処理材では、引き続き、焼結を行い、成分分析、機械特性測定、及び微細構造の観察に移行し、チタンと酸化チタンが微細分散化したW系材料では、更なる照射を行い、その耐照射性能を調べる。 放射線損傷に関する様々な物質の特性評価のため、加速器照射施設において照射下での計測のための設備を構築する。また、試作を進めている複数のHEA材料の耐照射性能に関する照射実験や解析を行う。さらに、電気抵抗測定法と陽電子寿命測定法等によって、これらの物質が持つ未知の特性を明らかにする。
|
-
[Journal Article] Development of Innovative Materials and Measurement Systems used for Radiation Environment2022
Author(s)
Eiichi Wakai, Yosuke Iwamoto, Kodai Toyota, Takashi Onizawa, Takashi Wakui, Tamaki Shibayama, Yuki Nakagawa, Koichi Sato, Taku Ishida, Shunsuke Makimura, Hiroyuki Noto
-
Journal Title
Research & Development in Material Science
Volume: 16
Pages: 1859、1867
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-