2022 Fiscal Year Annual Research Report
Stereodynamics of electron-molecule collisions studied by multidimensional coincidence electron spectroscopy
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21H04672
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80241579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼塚 侑樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80848036)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 電子・分子衝突 / 衝突立体ダイナミクス / 同時計測電子分光 / 配向分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子が分子と衝突する時、入射電子ビーム軸と分子軸との角度や衝突径数の大きさに依存して、衝突の確率や衝突の物理化学的内容が異なるのではないだろうか。本研究の目的は、そうした基本的な問いに応える「電子・分子衝突の立体ダイナミクス」という研究分野の深化と展開である。 上記の目的を達成するため、本研究計画初年度の2021年度においては、非共鳴レーザーパルス電場により生成する回転波束とその時間発展のシミュレーションデータの詳細な検討を通して得た、より優れた本実験原理を踏まえ、研究代表者が現有のレーザー設備(120 fs, 5 kHz, 4 Wのチタンサファイアレーザー)の5 kHzから1 kHzへの周波数変更、および実験装置真空槽の設計と試作を行った。本研究計画二年目の2022年度においては、上記の実験原理を具現化するため、膨大な量の荷電粒子のシミュレーションを行い、その結果をもとに電子エネルギー分光器とイオン分光器を設計し、試作を行った。そして、電子エネルギー分光器とイオン分光器おのおのに新規購入した位置敏感型二次元検出器を組合せることにより、マルチチャンネル型電子エネルギー分析器およびマルチチャンネル型イオンエネルギー分析器として整備した。さらに、地磁気遮蔽を行うパーマロイを設計製作し、前年度に整備した実験装置真空槽に導入を行った。製作したパーマロイの磁気遮蔽度は満足すべき性能を得ている。 以上のように、本研究計画で必要とする実験装置をシステムとして完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は予期していた以上に極めて順調である。その最大の理由は、上記の回転波束シミュレーションを通じて、本研究計画申請時に想定していた実験と比較して、遥かに容易な実験技術で遥かに高度な質の実験データを得るための新しい実験原理の着想に至ったことである。非弾性散乱電子および解離イオンの電子衝突で生成する荷電粒子のトラジェクトリ―計算の結果は、この着想を具現化すれば、実験データ統計の3桁違いの改善に止まらず、電子遷移毎に分けて実験データを得るための電子エネルギー分解能など他の多くの実験パラメータの質的向上が果たせることを示唆する。そこで、その新しい実験原理の着想に基づいて、パルス電子銃、超音速パルス分子線源、半球型エネルギー分析器、飛行時間型イオン検出器等の装置要素の設計と試作を終え、実験装置をシステムとして完成させた。 一方、レーザー電場による分子配列度の大幅な向上を図るために行った、研究代表者が現有のレーザー設備(120 fs, 5 kHz, 4 Wのチタンサファイアレーザー)の高強度化も予期した通りに実現できた。すなわち、5 kHzから1 kHzへとレーザーの周波数変更を行った結果、利用できるレーザー光強度が5倍となった。これに関しては、2022年3月16日に発生したM7.4の福島県沖の地震により、上記レーザーが稼働不可となったが、国の地震復旧支援により、2023年9月ごろに代替品が納入されることとなった。 以上のように、本研究計画を具現化する準備は整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は、上記地震被害支援としての代替レーザーの納入時期の前後の二つのステージに分割することである。 代替レーザー支給前の半年間においては、配列分子を生成できないので、「電子・分子衝突の立体ダイナミクス」実験を行うことは不可能である。そこで、レーザー支給がなされた後速やかに「電子・分子衝突の立体ダイナミクス」研究を開始することができるよう、従前の空間平均した分子による電子・分子衝突実験を通してレーザー光と関係のない他の設備の最適化を図る。 一方、代替レーザー支給後の半年間においては、実験装置をシステムとして整備した実験装置を用いて、分子の配列度、パルス電子線のビーム強度、散乱領域の大きさ、電子およびイオン分析器の分解能など実験条件を最適化する。その後、窒素分子やヨウ化メチル分子等を対象として、「電子・分子衝突の立体ダイナミクス」研究の予備実験を開始する。
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Research Products
(20 results)