2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Enantioselective Reactions Based on Visible Light Excitation of Chiral Transition Metal Catalysts
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21H04680
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤村 正也 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40202105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 淳也 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (30322168)
上野 貢生 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00431346)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 光触媒 / MLCT / 銅触媒 / 極性転換 / アリル位アルキル化 / 不斉触媒反応 / アシルシラン / NHC配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
「可視光駆動型銅触媒不斉アリル位アシル化反応」について、ほぼ完全なエナンチオ選択性を与えるところまで反応条件の最適化を行い、官能基を持つ基質や全炭素置換第4級不斉炭素中心を生成する気質などにも基質適用範囲も拡充し、合成化学的な有用性を確認することができた。反応機構解明のため、分担者上野の協力を得て基礎的分光データを取得するとともに、スチルベン消光剤としてを利用する3重項消光実験を行ない、触媒反応中に有機銅錯体の3重項励起状態が存在するを支持する結果を得た。さらに分担者長谷川と共同で実施したアキラルなアシル銅錯体の可視光駆動アリル位アシル化反応の励起状態理論計算の研究では、アシル銅(I)錯体の金属―配位子電荷移動励起状態の生成を鍵とする当初想定した反応機構を支持する結果が得られた。つまり、光励起がアシルシランのシロキシカルベンへの異性化の段階と、アシル (I)の金属―配位子電荷移動による電化分離状態の生成の2つの段階に関与していることが示された。また、アリルラジカルが銅錯体との非共有結合性相互作用によって、錯体の第二配位圏内に捕捉されるという非常に興味深い計算結果が得られた。これらの結果を報告した論文がアメリカ化学会誌に掲載された。 また、可視光励起によるカルボン酸のα位アリル化反応や、アルデヒドのアルキニル化反応など、青色LEDによる可視光照射を利用する関連研究でも成果を得て、それぞれ ACS Catalysis, Organic Letters誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光励起状態からの化学反応経路解析により想定外の励起活性種の構造が示された。特に、アリルラジカル種がロンドン分散力などの弱い分子間力によって銅錯体の第二配位圏に捕捉されることが示されたことは極めて重要であり、今後のさらに詳細な研究課題を提示することになった。 また、リン酸アリルエステル以外の求電子剤を用いる反応にも展開可能であることが実験的に示された。
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Strategy for Future Research Activity |
不斉配位子を含む形での理論計算を行い、アリルラジカルと触媒の相互作用の実態を解明したい。また、これらの相互作用が、本反応の位置選択性、エナンチオ選択性に及ぼす影響を明らかにしたい。 求電子剤を電子不足アルケンに拡張して、アシルアニオンの不斉共役付加反応による 1,4-ジカルボニル化合物の不斉合成を開発し、高度なエナンチオ選択性を達成する。
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Research Products
(16 results)