2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Functional Chiral Space produced in Supramolecular Assemblies
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21H04685
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
灰野 岳晴 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (80253053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 亮 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00376584)
平尾 岳大 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20825343)
木原 伸一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30284524)
秋根 茂久 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30323265)
有賀 克彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50193082)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / 分子認識 / らせん / 不斉増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,カリックスアレーンやレゾルシンアレーンの自己集合により生じるらせん構造をもつ超分子カプセルカプセルの開発を行っている。初年度は,カリックス[4]アレーンと鉄三価イオンの配位により形成される超分子三重らせん錯体の開発とレゾルシンアレーンビスキャビタンドの自己集合による超分子らせんポリマーの開発を行った。カリックス[4]アレーン超分子三重らせん錯体は三つのカリックス[4]アレーンにより囲まれた大きな空孔を有する。この超分子錯体のらせん構造は動的平衡状態にあり,ラセミ体として存在する。この空孔内には,キラルなカチオン性ゲスト分子が二分子協同的に包接される。そこで,キラルなゲスト分子の光学純度とらせん錯体のCDスペクトルの強度をプロットしたところ,ゲスト分子の光学純度以上のらせんキラリティーが誘起されていることが明らかとなった。次に,八つのビピリジンをもつレゾルシンアレーンビスキャビタンドを銀イオンにより自己集合することで超分子らせんポリマーを合成することに成功した。このらせん構造は,原子間力顕微鏡により観測することができ,超分子ポリマーのらせん構造に,はっきりとした右巻きと左巻きが存在し,右巻きと左巻きの巻き替えが起こっている欠陥が観測された。また,この超分子らせんポリマーは低濃度でクロロホルムなどのハロゲン系の溶媒をゲル化したことから,重合度の高いポリマー鎖が生成していることがわかった。また,キラルなゲスト分子を添加することで片巻きに制御されたらせん構造をもつ超分子らせんポリマーを生み出すことに成功した。らせん構造に由来する不斉増幅を弱いながらも見出すことができた。これらの成果の一部は既に学会発表や学術論文として報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,金属配位により形成する超分子らせんポリマーの動的らせん相互変換を制御することで,不斉増幅を実現する分子論的アプローチを確立することを目的としている。初年度は,主にカリックス[4]アレーンやレゾルシンアレーンビスキャビタンドの超分子三重らせん錯体や自己集合超分子らせんポリマーの合成を行った。これらの錯体の分子認識挙動に協同性や不斉増幅現象を見出すことができたので,概ね予定した研究計画に沿った成果となっている。また,既にいくつかの研究成果については,学術論文として報告した。よって,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で,カリックス[4]アレーンやレゾルシンアレーンキャビタンドの金属配位により生成する超分子三重らせんカプセル分子や超分子らせんポリマーを開発した。今後は,前述した研究目的を達成するために,カリックス[4]アレーンを複数連結した超分子三重らせんポリマーやカリックスレゾルシンアレーンカプセルを連結した超分子らせんポリマーの分子認識とらせん誘起の協同性について詳細に調査する。具体的には,カリックス[4]アレーンポリマーの合成スキームの確立を行う。その後,カリックス[4]アレーンポリマーのガリウムや鉄イオンの配位により得られる超分子三重らせんポリマーの合成を検討する。得られた超分子三重らせんポリマーの構造解析,配座特性を明らかにし,ポリマーとしての物性も明らかにする。また,キラルなゲスト分子の包接による超分子らせんポリマーの巻き方向の制御を行うことで動的らせん構造の超分子化学的制御法を確立する。既に,ゲスト分子の協同的な包接現象を見出しており,超分子不斉増幅を達成するための基礎的知見は既に得ている。ゲスト分子の探索を行うことで,効果的な不斉増幅システムを見出す。また,ゲスト分子のキラリティーを転写することで生み出されるキラルならせん空間の機能創発にも注力する。次に,カリックスレゾルシンアレーンビスキャビタンドの金属配位による自己集合超分子らせんポリマーのキラル不斉認識を行い,その不斉増幅現象について詳細に検討する。また,この超分子ポリマーの高分子材料としての物性についても調査する。可逆的結合特有の熱物性や自己修復特性についても加えて検討する。これらの研究成果について,得られた結果を取りまとめ学会発表を行うと共に,学術雑誌に報告する。
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Research Products
(76 results)