2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of molecular probes capable of detecting polymer radicals for the scientific elucidation of polymer chain scission
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21H04689
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 英幸 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00293051)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 高分子反応 / 分子鎖切断 / ポリマーラジカル / 分子プローブ / 蛍光検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外部刺激により高分子鎖が切断される際に発生する、微量かつ不安定なポリマーラジカルと速やかに反応して長寿命かつ蛍光を発する分子プローブ群の開発と高分子切断の多角的な解析を目的としている。 今年度は、分子プローブを利用して実際に架橋高分子エラストマーサンプルにおける分子鎖切断の可視化を検討した。ダブルネットワークエラストマーと呼ばれる、相互貫入網目構造を有する架橋高分子エラストマーをターゲットとして選定した。ダブルネットワークエラストマーに分子プローブを後天的に添加し、エラストマー内部で生じる分子鎖切断の可視化を試みた。具体的にはアクリル酸メチルを主成分とするシングルネットワークエラストマー (MA) と、ファーストネットワークにアクリル酸エチル、セカンドネットワークにアクリル酸メチルを使用したダブルネットワークエラストマー (EA/MA) を合成し、それぞれのエラストマーに後天的にジアリールアセトニトリル (DAAN) 誘導体を添加した。作製したエラストマーサンプルの紫外光照射下での引張試験を行った。 引張試験の結果、分子鎖の切断を蛍光でマッピングすることに成功した。MAは破断直前にのみDAANラジカル由来の蛍光発光を示したのに対して、EA/MAは歪み硬化領域付近から蛍光発光が確認され、破断直前には、伸長された領域全体から DAANラジカル由来の蛍光発光が確認された。この結果は、MAは材料の破断直前までエラストマー内部での分子鎖切断は生じていないのに対して、EA/MAは歪み硬化領域付近から徐々に伸張領域全体で分子鎖切断が生じていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、2023年度は前年度に続いて「ステージ1:蛍光性ラジカルを与える分子プローブ群の構築」を進め、「ステージ2:分子プローブへの機能付与と評価」、「ステージ3:プローブの高分子化と評価」を精力的に実施した。さらに、「ステージ4:直鎖状高分子への分子プローブの適用研究」、「ステージ5:架橋高分子への分子プローブの適用研究」に関しても研究を実施し、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しているため、このまま計画通りに研究を推進する。想定外のことが起きた場合には、臨機応変に対応する計画である。
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