2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative materials for all-solid-state Na/S batteries that operate at room temperature
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21H04701
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10364027)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 全固体電池 / 固体電解質 / ナトリウム-硫黄電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、硫化物をはじめとする様々な革新的固体電解質および活物質材料を探索し、それらの導電率を含む様々な特性の評価と構造解析を行う。開発した電池材料を用いた全固体ナトリウム-硫黄電池を作動させた際の電極反応メカニズムの解明と電極-電解質界面で生じる課題の抽出と改善に取り組み、室温作動全固体ナトリウム-硫黄電池の基盤技術を確立することを目的としている。 今年度は、室温で10-2 S cm-1以上の高いナトリウムイオン伝導度を示す硫化物電解質Na2.88Sb0.88W0.12S4をベースとして、主にアニオン置換による電解質の高性能化について検討した。硫黄の一部を酸素に置換した電解質では導電率が若干低下するものの、負極に対する還元安定性の向上することを見出した。またヨウ素置換体では固溶体の形成が確認できなかったため、NaIを添加してボールミル処理したところ、Na2.88Sb0.88W0.12S4中にサブミクロンオーダーのNaI粒子が高分散した複合体が得られた。得られた電解質はNaI未添加の場合と比べてより短時間の熱処理で10-2 S cm-1以上の高い導電率を実現できることがわかった。また硫黄系電極活物質の探索の一環として、Na2S-NaI系固溶体を作製した。NaI添加に伴い導電率が増加し、20 mol%添加組成で最大の室温導電率2.2×10-7 S cm-1を示した。得られた固溶体を気相成長炭素繊維(VGCF)とNa3PS4電解質と混合して得られた正極複合体を用いた全固体電池は室温で充放電が可能であり、Na2Sの理論容量の96%に相当する容量が発現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた、硫化物系固体電解質の探索と硫黄系正極活物質の開発についての研究を進めることができている。特に硫化物電解質ではNaIとのコンポジット電解質においては従来よりも短時間での熱処理で高い導電率が得られることを見出している。全固体ナトリウム-硫黄電池における正極活物質の性能向上にも成功しており、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Na2Sをベースとする正極活物質については、様々なナトリウム塩との組み合わせを探索し、より一層の電極特性の向上を図る。電解質の探索については、金属Na負極の適用を見据えて、耐還元性に優れた電解質組成の探索を進めていく予定である。
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