2022 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌の環境汚染物質代謝能の意義解明及び汚染環境浄化への発展的応用
Project/Area Number |
21H04744
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
長井 薫 千里金蘭大学, 生活科学部, 教授 (20340953)
森 智夫 静岡大学, 農学部, 准教授 (80536516)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | バイオレメディエーション / 白色腐朽菌 / シトクロムP450 / 毒性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 環境汚染物質代謝CYPライブラリーの構築 本研究の供試菌であるPhanerochaete sordida YK-624株は214種のシトクロムP450(CYP)遺伝子を有しおり、これらCYPが代謝可能な環境汚染物質を決定し、環境汚染物質代謝CYPライブラリーを構築することを目的に、P. sordida YK-624株からのCYP遺伝子(cDNA)の取得及び発現プラスミドの構築を行った。その結果、214種類のCYP遺伝子のうち、168種のCYP/CPR共発現プラスミドの作成に成功した。さらに、168種のCYP遺伝子のうち、114種の酵母への導入に成功した。 また、214種類のCYPについて系統樹を作成した結果、本CYPは31のfamilyに分類されることが判明した。
(2) P. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の生物学的意義の解明 『白色腐朽菌は環境汚染物質を、環境中に存在する微生物が分解可能となる形にまで代謝している』という仮説を証明すべく、アセタミプリド及びイミダクロプリドの代謝に関与するCYPの同定を試みたが、上述の114種のCYP中に代謝に関与するCYPは存在しなかった。なお、本年度は、次年度以降に実施する土壌における分解挙動を追跡する上で必要となる「土壌中細菌由来RNAの抽出法」を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「環境汚染物質代謝CYPライブラリーの構築」については、P. sordida YK-624株が有するCYP遺伝子の大部分の取得に成功し、その半数のCYP組換え酵母の作成も完了した。今後早急に全てのCYP組換え酵母を作成し、早々に分解実験を開始する予定である。また「P. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の生物学的意義の解明」においては、分解代謝産物の合成にも成功し、さらに、土壌環境中細菌由来RNA調製法も確立した。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に取得したCYP遺伝子全てを組換えた酵母の作出を完了し、早々に各CYPが分解可能な環境汚染物質の決定を実施する。 また、P. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の生物学的意義の解明については、土壌微生物による処理を開始し、分解毒性、微生物群解析、発現遺伝子解析等を実施する。
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Research Products
(2 results)