2021 Fiscal Year Annual Research Report
未培養ルーメン微生物による非食用バイオマスの分解機構の解明とメタン発酵の高効率化
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21H04749
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Research Institution | Niigata Agro-Food University |
Principal Investigator |
中井 裕 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 教授 (80155655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 千佳 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30413892)
福田 康弘 東北大学, 農学研究科, 助教 (50527794)
馬場 保徳 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (70747823)
阿部 憲一 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 講師 (80618835)
浅野 亮樹 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 講師 (20646137)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | メタン / ルーメン微生物 / リグノセルロース / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
食肉処理場から採取したルーメン液に対して酵素の発現と微生物群集の遷移を観察した結果、ルーメン液中にはリグノセルロース(LC)分解酵素産生種またはその近縁種の微生物が存在して、LC分解酵素を産生していることが示されたが、どの微生物がどのような酵素を産生しているのかという紐付けはできていない。LC分解酵素を産生する微生物の種の確定は、我々が開発したルーメンハイブリット型メタン発酵をシステムとして確立させるためにも必要不可欠である。本研究では、シングルセルゲノム解析技術をもちいて、分離培養に依存しないLC分解微生物種の同定と関連酵素遺伝子の配列決定を目指している。本年度は、シングルセルゲノム解析にかけるLC分解微生物の割合を増やすために、LC分解微生物の選択的培養系の構築に着手した。 LC分解能を保持した濃縮ルーメンの作製については、以前に我々が報告した凝結凝集法に新たに数工程を追加することで、減容化率90%以上の濃縮物を得ることに成功した。このルーメン濃縮物内の細菌叢を明らかにするためにPacBioシーケンス解析を実施し、ほぼ1500塩基長の16SrRNA遺伝子を決定した。Firmicutes門が62%と半数以上を占め、続いてBacteroidetes門が18%、Proteobacteria門が11%であった。このうちBacteroidetes門内の40%以上が、キシラン分解能を有するとされているPrevotella属が占めていた。Japan BrackおよびHolstein Friesian生体のルーメン液中の微生物叢解析を実施した先行研究(Takizawa et al., 2021)の報告と比較すると、ルーメン濃縮物ではFirmicutes門が占める割合が大きいことが目立った相違であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リグノセルロース分解酵素を産出する微生物群の集積培養系を構築中であること、集積培養系から微生物叢解析にかけられる量の試料を採取できていること、減容化率90%以上のルーメン液濃縮物が得られていることから、順調に研究は進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
LC分解微生物の集積培養系から採取した試料中の微生物叢を解析して、検出頻度が増加した微生物種を特定することで、集積培養系の有効性を検討する。また、モデル植物バイオマスを処理対象物として投入した回分式メタン発酵試験を実施して、ルーメン液濃縮物の添加により処理性能が向上するかを検証する。加えて、この回分試験中の微生物叢の変遷を追跡して、シングルセルゲノム解析にまわす候補試料の決定を目指す。
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