2022 Fiscal Year Annual Research Report
Significance and mechanism of mutually exclusive inactive histone marks
Project/Area Number |
21H04764
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30241392)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | クロマチン / エピジェネティクス / ヘテロクロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンH3K27のトリメチル化(H3K27me3)とクロマチンにH3K9のトリメチル化(H3K9me3)の排他性を明らかにするために、H3K27me3が濃縮される場所にH3K9me3を導入する系を作製している。昨年度の研究で、ラパマイシンを用いた二量体化の誘導によりH3K27me3が濃縮される不活性X染色体上にH3K9me3を導入できることが明らかになった。また、その時間経過は比較的ゆっくりであったことから、必ずしも二量体化誘導系を用いる必要はないということがわかった。そこで、H3K27me3特異的細胞内抗体(H3K27me3-mintbody)にH3K9のトリメチル化酵素Suv39H2のメチル化活性(SET)ドメインを融合した蛋白質(H3K27me3-mintbody-Suv39H2(SET))、及び、メチル化活性をもたないSETドメインの変異体(methyltransferase-deficient SET; dSET)を融合し蛋白質(H3K27me3-mintbody-Suv39H2(dSET))をドキシサイクリン依存的に発現するマウス細胞株を樹立した。H3K27me3-mintbody-Suv39H2(SET)の発現をドキシサイクリンで誘導すると数時間後に蛍光が見られ、不活性X染色体上への局在も確認できた。現在、細胞の表現型の解析を進めている。 生細胞でH3K9me3が濃縮する部位を可視化できるプローブに関しては、Suv420H2のヘテロクロマチン局在化ドメイン中のヘテロクロマチン蛋白質1(HP1)に結合部位を用いて開発を進めている。これまでの研究でN末端側のHP1結合モチーフを含む領域は結合力が強すぎて生細胞プローブに向かないことがわかったが、今回、C末端側の結合モチーフを含む領域が適度にHP1に結合すること示すことができた。このC末端側の30アミノ酸程度の領域は、生細胞中のクロマチン状態に影響を与えずに、HP1を介してH3K9me3の局在解析に使用できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、H3K27me3が濃縮する部位へH3K9me3を導入した細胞での表現型やクロマチン状態を当該年度に解析できると考えていた。しかしながら、細胞の樹立に時間がかかったことや顕微鏡の使用時間等の制限から、若干遅れが生じている。しかし、細胞の表現系やクロマチン構造の解析系はすでに確立していることから、来年度に遅れを取り戻すことができると考えている。一方、ヘテロクロマチン可視化プローブの開発に関しては、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに樹立した細胞を用いて、解析を加速していく。顕微鏡の使用時間についても、使用料金はかかるが比較的混み合っていない超解像顕微鏡を用いるなど、効率化を図る。また、ヘテロクロマチン可視化プローブがH3K27me3-mintbody-Suv39H2(SET)発現細胞にも使用できるかどうかを検討する。
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Research Products
(18 results)