2021 Fiscal Year Annual Research Report
Manipulation of G12/13 signaling and and drug development strategy
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21H04791
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 飛鳥 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (50525813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80805961)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | GPCR / DREADD |
Outline of Annual Research Achievements |
G12共役型デザイナーGPCR(G12D)を血管平滑筋に発現させたマウスに血管結紮処置を行い、デザイナーリガンド(CNO)を投与することで血管リモデリングが抑制されるかどうか調べた。結紮付近の血管の組織切片観察により評価したところ、コントロールマウスとG12Dマウスの群間で顕著な差は認められなかった。一方、CNO投与直後には、G12Dマウスのみで血圧増加応答を示したことから、個体レベルでG12シグナル作用が誘導されることがわかった。肝臓G12D発現マウスにCNO投与したところ、血中のトリアシルグリセロール(TG)濃度が低下することがわかった。脂肪肝誘導として絶食による急性モデルと高脂肪食負荷による慢性モデルを適用しCNO投与したところ、両モデルにおいて肝臓のTG蓄積が抑制され、高脂肪食飼育では体重増加を抑制する効果を示した。一方、血中のTG濃度はG12Dマウスで低下していたことから、TGは脂肪酸に分解されβ酸化により異化を受ける代謝亢進が想定された。 G13共役型デザイナーGPCR(G13D)の開発については、共役アルゴリズムPRECOGを用いてムスカリン受容体由来のデザイナーGPCRの点変異の改変を試みたが、G13共役を向上する変異体は見出されなかった。共同研究により改良型共役アルゴリズムのPRECOGxを開発することに成功したことから、今後このアルゴリズムを元にG13Dの作出に取り組む。また、分子動力学シュミレーションを用いたG13Dの開発を目的として、脂質二重膜中環境中のGPCRにリガンドを結合させ動態変化を解析する設備を整備した。構造解析によるアプローチでは、G12/13共役型受容体の発現系を最適化し、非特異的な切断を抑制して単分散性のよい受容体タンパク質を発現できるコンストラクトを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って研究を実施し、計画通りの研究成果を得ることができた。当初計画外の成果としては、スフィンゴシン1リン酸受容体の分子動力学シュミレーションによる受容体の活性型構造変化やバイアスリガンドに特徴的な構造変化に関する成果を挙げた。また、バイオインフォマティクスグループとのGタンパク質共役選択性のアルゴリズム(PRECOGx)の開発は当初計画以上に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
・G12共役型デザイナーGPCR発現マウス解析 前年度までに、見出した肝臓G12D発現マウスの脂肪蓄積抑制効果ついて、細胞レベル・生化学レベルでの解析を進める。具体的には、肝細胞の脂肪合成やエネルギー産生が亢進しているかどうか、関連酵素のmRNA発現、ミトコンドリア活性、初代培養肝細胞でのフラックスアナライザーを用いて調べる。また、網羅的な解析としてRNA-seqやメタボロミクス測定を実施し、代謝経路全体の中で変化する経路を絞り込む。肝臓以外の対象組織として、脂肪細胞と皮膚上皮細胞に着目し、これらの組織に特異的にG12共役型デザイナーGPCRを発現させたマウスを作製する。脂肪組織に関しては中性脂肪の代謝や褐色脂肪の熱産生、さらには白色脂肪の褐色化への作用を調べる。皮膚に関しては、LIPH遺伝子欠損マウスの乏毛症モデルの改善作用や上皮組織の創傷治癒への作用を調べる。 ・G13共役型デザイナーGPCRの開発 ムスカリンM1受容体由来のデザイナーGPCRをモデルとして、GαサブユニットのC末端ヘリックスとの複合体の分子動力学シュミレーションを行い、G12とG13の選択性の構造基盤を解析する。得られた計算モデルを元に、受容体側とGタンパク質側の変異体実験を行い、相互作用の選択性を検証するとともに、G13を指向する改変型受容体の作出を目指す。また、前年度までに開発したPRECOGxを元に、G13共役スコアを選択的に高めた改変体を設計し、NanoBiT-Gタンパク質アッセイを用いてこの改変デザイナーGPCRのGタンパク質活性を調べる。構造解析については、前年度までに最適化を進めたG12/13共役型受容体について、さらなる検討を進め性状のよいタンパク質を精製するとともに、Gタンパク質との複合体形成を試みる。リガンド依存的に安定な複合体を得られる場合、クライオ電顕による構造解析を目指す。
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Research Products
(13 results)