2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of transmission and aggregation mechanisms of alpha-synuclein as a major component of Lewy body and development of disease-modifying therapies for synucleinopathies
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21H04820
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
服部 信孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80218510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉木 臣二 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (00339996)
鈴木 佑典 日本大学, 理工学部, 准教授 (20586755)
井本 正哉 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (60213253)
波田野 琢 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60338390)
谷口 大祐 順天堂大学, 医学部, 助手 (70908946)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | パーキンソン病(PD) / α-Synuclein(αS) / レヴィ小体 / 多系統萎縮(MSA) / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1) -a) 脂質異常と凝集体形成:PLA2G6変異患者の赤血球膜の脂質組成を分析した。同じNBIAに属するMPANを過剰発現させるとPLA2G6の表現型が改善させることから、MPANショウジョウバエモデルを作出してPLA2G6との違いを検討した。またPLA2G6、CHCHD2、PSAP変異症例由来iPSを使って脂質組成解析を行い、PSAPではGM1が低下し、GD3が上昇していることを見出した。これはトランスゴルジネットワークの異常と考えられ、新しくゴルジストレスの概念を提唱した。脳病理を使った解析では、MSイメージング解析を行い、PD、MSAおよび正常群の脳組織における脂肪酸発現の差異について評価した。b) リソソームネットワーク異常と凝集体形成:Procathepsin-PSAP-Progranulinネットワークの解析をPSAP変異患者由来iPSで検討した。また、Live cell GCase assayを行いGCase活性低下の有無を解析した。 2) レヴィ小体型認知症、PD, MSAにおけるαSシードのstrainの違いを、電顕を使ったネガティブ染色にて鑑別可能か検討し、同じシヌクレイノパチーでもレビー小体型認知症、認知症のないPD、MSAでstrainの違いがあることを見出した。加えて血中におけるαSシードを使ったインジェクションモデルでの封入体形成の拡がりや拡がり速度の違いを見出した。MSA由来シードではオリゴデンドログリアの変性がMSA-p由来シードで強かった。次にMSA-cであった。PDの封入体形成はインジェクション後1年後まで増加していた。シードの構造が封入体の拡がりの速度に影響していることが判明した。 3)疾患修飾療法の基盤の確立: 血中αSシード除去を目的としてカラムを使った血漿交換療法を令和3年11月に開始し臨床症状の改善や進行の違いについて検討した。現在6例の探索研究を進めており、興味深いことに起立性低血圧の改善が認められた。また、UMSARS Part IIの変化量について観察しており早期症例ほど進行が遅い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質解析について質量分析イメージング法(MSI)により、正常対照群(Cont)、孤発型/家族性パーキンソン病(PD)、アルツハイマー型認知症(AD)、および多系統萎縮症(MSD)患者由来の帯状回、後頭葉、小脳の脳組織切片上の脂質組成解析を行った。その結果、後頭葉および小脳では病態特異的な脂質組成変化は観察されなかったが、PDおよびADの帯状回ではガングリオシドGM1を構成する比較的短鎖の脂肪酸の比率が増加する傾向が観察された。GM1以外の脂質に関しても、局在変化などが観察されている病態特異的な複数のピークが観察されている。更に解析を進めており、成果は上がっている。血清中のαSシードを見出した成果は画期的であり、論文化に向けて準備を開始した。既にNew England Medicineに投稿し不採択になったもののレビューワーからサジェスチョンをもらったので追加実験を進めた。その後、疾患毎のstrainの違いなど明白に出来、シードの構造やシーディング活性の違いなどを証明できた。これら追加実験を行い2023年4月に論文はNature Medicineに採択された。MSAの治療に関しても血液浄化療法で少なくとも起立性低血圧は全例改善しており、失神症状は減少している。現在8例目の登録が終了しており、次年度には9例の目標症例数に達する予定である。対象となるMSA症例は血液中にαSシードを同定できた症例に限定しており、血液浄化後にαSシードは激減していることを確認出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
1-a) 組織上の脂質解析に関しては2022年度に再開できたので、2023年度は更にMSIによる各疾患患者由来の帯状回、後頭葉、小脳の凍結組織切片の脂質組成解析を行う。既に帯状回後部において短鎖脂肪酸の増加が確認出来ているので、PDとコントロールでの赤血球膜の変化の有無を検討する。1-b) PSAP変異由来ドパミン神経細胞での解析でゴルジストレスの関与が明らかになったので、この系を用いてシードスクリーニングシステムを構築するためPSAPノックインマウスの解析でホモ接合体はTHニューロンとプルキンエ細胞の脱落が観察されるのに対し、ヘテロ接合体ではTHニューロンの脱落のみ観察された。この現象についてsc-RNA seqを行い細胞による毒性感受性の違いを解析する。また今後は、遺伝子改変マウスを使ってヘテロ接合体とホモ接合体について違いの有無を検討する。 2)血液バイオマーカーとして異常シヌクレインシードを、免疫沈降を応用させたRT-QuICで同定することに成功し、臨床応用可能となった。今後は簡便に鑑別可能なシステムの構築を目指す。またJ-PPMIのコホートに対し、髄液と血清とで解析して、嗅覚低下の有無など画像検査のパラメーターなどとの関連性を確認する。また、グローバルPPMIとの共同研究を開始して、臨床症状との違いを検討する。また、現時点では検査結果を得るのに120時間を必要としており、特異度を維持したままで感度を上げる方法の改良を行う。加えてテンプレートとなるリコンビナント蛋白の作成にも技術的改善を目指し、安定した結果が得られるよう技術開発を進める。 3)シヌクレイノパチーの疾患修飾療法の開発に向けて症例数を9例まで増やして臨床症状の経時的フォローを観察する。
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Research Products
(28 results)