2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト臓器創出を目指したiPS細胞オルガノイド培養技術プラットフォームの構築
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21H04830
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 英樹 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70292555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 聡一郎 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40436275)
久世 祥己 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (70837806)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | iPS細胞 / オルガノイド / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト臓器の人為的創出法の確立を目指し、ヒトiPS細胞由来(ヒトiPSC)大血管を有するヒト肝臓オルガノイド創出法の開発を目的としている。本年度は、肝臓周囲に存在する大血管の特性解析およびヒトiPSCを用いた大血管再構成法の開発を進めた。 (1)マウス胎仔期大血管の解析 胎仔マウスの肝臓周囲に存在する大血管(静脈洞・臍帯静脈・大動脈)について、血管新生能を比較した。大血管をゲル包埋して血管新生能を評価したところ、胎生初期の静脈洞が高い血管新生を示した。In vivoの3次元画像解析等から、胎生初期の静脈洞は胎仔肝臓方向に血管が新生するため、胎仔肝臓の血管形成を担う大血管であると考えられる。網羅的遺伝子発現解析によりマウス胎仔の各血管に特異的な遺伝子を検討したところ、数百の特異的な遺伝子が抽出された。 (2) ヒトiPSC血管構成細胞を用いた大血管作製法の開発 ヒトiPSC血管平滑筋細胞を含むコラーゲンゲルをチューブ状に加工し、チューブの内腔にヒトiPSC血管内皮細胞(EC)を播種したところ、ヒトiPSC由来の平滑筋細胞層と内皮細胞層を有する血管様構造体(ヒトiPSC大血管)が再構成された。一方で、ヒトiPSC大血管はマウス胎仔静脈洞と異なり、ゲル内で血管新生を示さないことが明らかとなった。ヒトiPSCから静脈洞の性質に近いECを分化誘導する手法を検討し、従来のヒトiPSC-ECよりも高い静脈洞マーカーを発現するヒトiPSC静脈洞ECの分化誘導法を確立した。ヒトiPSC静脈洞ECはゲル内で従来のヒトiPSC-ECよりも高い血管新生能を示した。今後、培養法の改良等により、ヒトiPSC静脈洞ECで構成されるヒトiPSC大血管からの血管新生を最適化することにより、ヒトiPSC肝臓オルガノイド内血管との吻合を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進んでおり、大きな問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
・ヒトiPSC静脈洞ECを有するヒトiPSC大血管の血管新生の至適化 ・ヒトiPSC静脈洞ECを有するヒトiPSC大血管のヒトiPSC肝臓オルガノイドへの血管新生の検討 ・ヒトiPSC静脈洞ECを有するヒトiPSC大血管とヒトiPSC肝臓オルガノイドの融合技術の開発 ・ヒトiPSC大血管を用いた還流培養
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