2021 Fiscal Year Annual Research Report
転写プラットフォーム因子Zfhxファミリーによる骨格形成の時空間的制御機構の解明
Project/Area Number |
21H04841
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 理行 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (60294112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多 賢二 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (80444496)
高畑 佳史 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60635845)
村上 智彦 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50510723)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 軟骨 / 骨 / Zfhx4 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Zfhx4の機能を代償する同じくZfhx転写因子ファミリーに属するZfhx3遺伝子ノックアウトマウスの作製を行った。Zfhx3は、Zfhx4と同じく巨大な転写因子であり、20を超える機能ドメインを有しているので、幾つかの機能ドメインを欠失させるように、CRISPR/Cas9法にて、Zfhx3ノックアウトマウスのヘテロマウスの作出に成功した。欠損させる方法により、ヘテロマウスが致死であったり、アイソフォームの存在でノックアウトマウスとならない課題を克服した。 2.転写プラットフォーム因子として機能するZfhx4に結合する転写制御因子を効率よく同定するために、Zfhx4遺伝子に、Flagタグを挿入したFlag-Zfhx4ノックインマウスをCRISPR/Cas9法にて作出した。CRISPR/Cas9法では、挿入部の予期しない欠失や変異が入りやすいので、ガイドRNAに工夫をして、目的とするノックインマウスを作出できた。またレポーター遺伝子を活用することにより、ノックインマウスのライン化の効率化を図った。ウエスタンブロッティング解析ならびにゲノムDNAを用いたPCRおよびDNAシークエンス解析にて、目的とする部位に正しくFlagタグを挿入できていることも確認できた。 3.Zfhx3およびZfhx4の骨格系組織における発現を詳細に解析するために、骨、軟骨および関節における各々の発現を、RNA-Seq解析およびシングルセルRNA-Seq解析にて検討を行った。その結果、Zfhx3およびZfhx4は骨、軟骨および関節に存在する細胞群に広範かつ高く発現することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 1.作製が困難であった、交配可能なZfhx3遺伝子ヘテロ欠損マウスの作製できた。 2.Flag-Zfhx4ノックインマウスの作製を行った。 3.骨格系細胞および組織におけるZfhx3およびZfhx4の詳細な発現パターンを明らかにすることができた。 以上の事由を総合的に考慮し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Zfhx3ヘテロマウスを交配し、Zfhx3ノックアウトマウスを作製し、その表現型を病理組織学的、分子形態学的および分子細胞生物学的解析を行って明らかにする。生後での解析が不可能であることを鑑みて、まず胎生14~18日での解析を試みる。 2.1.の結果を踏まえて、Zfhx3およびZfhx4ダブルノックアウトマウスの作製を行う。双方の遺伝子をホモ欠損させた際に、early embryo lethalで解析が難しい場合は、どちらかの遺伝子あるいは双方をヘテロ欠損の状況での解析も念頭において研究を進める。 3.Zfhx4とZfhx3の機能的差異の有無をin vivoレベルで検討するために、転写因子Runx2あるいはOsterixノックアウトマウスと交配し、ダフル変異マウスを作製し、その表現型を病理組織学的、分子形態学的および分子細胞生物学的手法を用いて解析を行う。 4.3.で作製したダブル変異マウスから肢芽細胞、軟骨細胞あるいは骨芽細胞を採取し、それら細胞からRNAを採取、精製し、RNA-Seq解析を行う。対照には、野生型マウスの同一部位の細胞を用いて、Zfhx3およびZfhx4の転写標的遺伝子の探索を目指す。 5.Zfhx4に結合する転写制御因子を網羅的に同定するために、Flag-Zfhx4ノックインマウスから肢芽細胞、骨芽細胞および軟骨細胞を採取し、抗Flag抗体で免疫沈降を行い、その免疫沈降サンプルを質量分析にて解析する。偽陽性を抑制するために、3回以上実施し、再現性高く結合するタンパク質を探索する。同定できた場合は、免疫共沈航法および蛍光タンパク質を用いた局在実験にてその結合性を検証する。
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