2021 Fiscal Year Annual Research Report
Adverse health effects of environmental chemical exposure: elucidation of mechanisms via human and animal studies
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21H04843
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 敦子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (00619885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
増田 秀幸 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任助教 (20869119)
池中 良徳 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40543509)
Goudarzi Houman 北海道大学, 医学研究院, 助教 (40713607)
POUDEL KRITIKA 北海道大学, 保健科学研究院, 特任助教 (40893764)
中村 明枝 北海道大学, 大学病院, 助教 (90724708)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 環境化学物質 / 疫学研究 / フタル酸エステル類 / バイオマーカー / 網羅的遺伝子発現 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
疫学研究では、「北海道スタディ」に参加する9-11歳の前思春期児から収集した血漿を用いて、性ステロイドホルモン14物質の一斉分析、LH、FSH、Inhibin B、INSL3の測定を行った。曝露評価として尿中フタル酸エステル類代謝物、ノニルフェノールを測定した。フタル酸エステル類代替物質DINCH、DEHTP、DEHA代謝物分析に向けた条件検討を実施し、ピークが得られることを確認した。 曝露と健康を介在するバイオマーカーの測定に向けて、96穴プレートを用いて一度に数十種類のたんぱく質やペプチドを、20μLという非常に少量の検体を用いて分析できるBio-Plex200 multiplexアッセイシステムを購入した。機器メーカによるトレーニングに加えて、ヒトテストサンプルを用いて、Th1/Th2サイトカインにエオタキシンを加えたテストアッセイを実施し、手技や分析に問題がないことを確認し、子どもから収集した血漿を用いた測定に向けて準備を整えた。 子ども血中総IgE、好酸球、気道炎症マーカーFeNO値について、一般子ども集団のアレルギー有となしの子どもの比較により、成人のカットオフ値の妥当性について検討した。 動物・細胞実験分担研究においては、ヒト肝細胞に近い性質を示すHepaRG細胞株に0.1% DMSO(対照群)、MEHP 3 microM(低用量群)、MEHP 30 microM(高用量群)をそれぞれ24時間曝露してmRNAを採取した。GeneChip解析を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、核内受容体PPARalpha活性化に伴う遺伝子発現変化を認めた。さらに、妊娠ICRマウスに、0.1%DMSOを含む水(対照群)、DEHP 0.3 mg/kg(低用量群)及びDEHP 3 mg/kg(高用量群)を妊娠期間中経口曝露した。それぞれ出生後7日目の仔マウス肝臓からmRNAを採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bio-Plexを購入にあたり、高額機器であるため導入に時間を要したこと、また北海道において外気温の低下に伴い実験室内気温も低下したことから、導入したての機器の光軸にゆがみが生じ、調整にさらに時間を要したが、市販のキットを用いて保有する子どもの血漿サンプル中に含まれるTh1/Th2関連サイトカイン17種類にエオタキシンを追加して測定する準備が整った。一般集団の子どもにおいて、血中総IgE、好酸球、FeNOについては喘鳴、湿疹、鼻結膜炎の有症がある子どもと無い子どもとの比較により、成人で用いられるカットオフ値は9-11歳の子どもでは適切でない可能性を明らかにし、現在論文を投稿中である。子どもの尿中フタル酸エステル代替物質の代謝物分析は妥当性の検討が終了し、実際の分析が進行中である。動物実験についてはフタル酸エステル代謝物MEHPの曝露試験は終了してmRNAを採取済みである。以上、研究初年度としての予備検討や研究が順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもの環境化学物質の曝露評価としては、収集保存している尿を用いるフタル酸エステル類代替物質DINCH、DEHTP、DEHAの代謝物を測定する。LC-MSMSによる分析法は初年度に確立済みであり、世界多機関参加のラウンドロービン試験(G-EQUAS)に参加し、分析法の妥当性についても検証する。また、新規農薬として使用量が増加しているネオニコチノイド系殺虫剤について、代謝物も含めてLC-MSMS分析を行い、子どもの曝露レベルを明らかにする。 各種ホルモンやバイオマーカーの測定に向けて、初年度に購入した磁気ビーズ法で同時分析が可能なマルチプレックスバイオアッセイ法により、Th1/Th2マーカー17plexとエオタキシンのテストキットを用いて約430人のアッセイを行う。 化学物質曝露と、喘息・アレルギーの介在物質としてTh1/Th2マーカーが関与するか、検討を行う。新たな研究分担者の参画により、代謝や炎症のバイオマーカーとして、子どもの血漿サンプルを用いて過酸化脂質および中鎖脂肪酸濃度をLC-MSMSを用いた好感度分析を行う。これら子どもの脂質濃度分析は世界的にも類を見ない。収集した、健康な子どもの血液中の総IgEや特異的IgE、好酸球などの血中マーカーおよびFeNOのデータより、子どもに妥当な診断カットオフ値について検討する。 妊娠マウスにPFOAを経口曝露し、出生後7日目の仔マウス肝臓におけるGeneChipを用いた網羅的遺伝子発現解析を行う。対照群との比較により、曝露マーカーとなり得る遺伝子についてウエスタンブロットによるタンパク発現解析を行う。また、昨年度実施したDEHP曝露実験についても同様に解析を進める。
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Research Products
(24 results)