2021 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災被災者の健康状態の推移とその関連要因に関する前向きコホート研究
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21H04845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20171994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 由美 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20747456)
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90436139)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / コホート研究 / 災害疫学 / メンタルヘルス / 社会疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
石巻市沿岸部の住民と仙台市若林区でプレハブ仮設住宅に入居した者を対象に、被災者健康調査(アンケート調査)を実施し、震災11年目の被災地域住民の健康状態や生活環境の推移などを把握した。 本年度は、石巻市3地区で3,604人(雄勝地区1,740人、牡鹿地区1,685人、網地島地区179人)、仙台市若林区(プレハブ仮設住宅に入居した者)で657人、対象地区合計4,261人から回答が得られた。 調査結果の概要を述べる。第1に、居住形態は、前年度(2020年度)調査と変動は見られず、対象者は恒久住宅に定住していた。第2に、睡眠障害が疑われる者の割合は、震災直後から徐々に改善していたが、本年度は増加に転じていた。また、全国平均と比べて依然と高い割合であった。第3に、心理的苦痛が疑われる者の割合は、横ばいであったが、全国平均と比べて、まだ少し高い割合であった。第4に、暮らし向きは、「大変苦しい」は減少し、「やや苦しい」「普通」の回答者が増加していた。第5に、高齢者の生活不活発は、「遠くへも一人で歩いている」や「外出の回数」に減少がみられた。第6に、新型コロナウイルスの影響は、「たいてい/いつも不安を感じる」と回答した者は約4割、「外出頻度に変化があった」と回答した者は約7割、「収入に変化があった」と回答した者は約3割であった。 震災11年目となり、被災者では恒久住宅での生活再建がみられていた。一方、健康状態では、睡眠障害が疑われる者の割合が増加、身体活動量の減少が見られたことから、被災後の生活環境の変化に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念される結果であった。 被災者健康調査の結果をもとに、メンタルヘルスに影響がみられる者、生活が不活発な者について、自治体に情報を提供し、被災地域住民の健康管理を支援する基礎情報として有効に活用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、おおむね順調に進展している。研究結果などに関しても、当初予期していないことは起こっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究事業は当初の計画通りに進捗しており、今後も計画通りに進めていく予定である。研究対象者は10年以上にわたって調査に協力してくださっており、今後も協力を続けてくださるものと思われる。また、研究データをデータ・アーカイブに寄託するという計画についても、寄託先との話し合いを始めており、これについても問題なく進むものと思われる。
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