2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the transmission dynamics of schistosomiasis ~Aiming for global infection control
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21H04852
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チャデカ エヴァンス・アセナ 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (10867542)
二見 恭子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30432983)
砂原 俊彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50264156)
中村 梨沙 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50645801)
河津 信一郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
森保 妙子 長崎大学, グローバル連携機構, 助教 (80833186)
凪 幸世 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90772971)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 住血吸虫症 / 顧みられない熱帯病 / モニタリング / 感染伝播ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
1) ケニア国内での移動・活動制限がある時期を除いて、ヴィクトリア湖湖畔のンビタ県において、毎月、中間宿主である淡水性巻貝の定点採取・観測を行った。これまで、60,000個体以上が採集され、セルカリア遊出試験を行ったのち、形態の写真情報を記録し、Biomphalaria属として同定された。次いで、一部の貝については画像から貝の大きさ及びホール数の計測を行い、生態型の同定をしたところ、Biomphalaria sudanica form sudanicaと同定された。写真撮影及び同定が終わった全ての貝と遊出セルカリアは冷凍保存された。同貝の中で各地点・各時点ごとに最大50個体についてDNA抽出を行った。令和4年度採集分まで、現時点で16,000個体以上からDNAが抽出されており、およそ5,700個体は、LAMP-PCR法を用いたマンソン住血吸虫の検出に供された。その結果、感染率に季節変動が認められた。住血吸虫の検出は引き続き行い、さらに住血吸虫の特徴は今後解析予定である。 2) 環境DNAの解析に関しては現地調査が出来なかったものの、下水を用いて新型コロナウイルスの伝播モニタリングに成功した企業と綿密に打合せを行い、共同研究を始動した。 3) 降水量と湖面水位に季節変動が認められ、これらと中間宿主(貝)の生息密度や感染率との間に相関があることが見出された。特に湖面水位の季節変動の影響は大きく、採集地点によってその影響が異なったとこから、貝の感染率への地形の影響が示唆された。今後、リモートセンシングを用いた地形と水位変動の関係とそれらの感染率への影響を解析していく予定である。 4) またマンソン住血吸虫由来抗原であるRP26やserpinに対する尿中のIgGの検出が、感染伝播モニタリングとして高感度で有効に機能することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症パンデミックによる渡航・移動制限などの様々な制約のもと、令和3年度には研究の進捗に遅れが認められたが、令和4年度終了時までに上記研究実績を挙げるなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)令和4年度採集分まで、現時点で16,000個体以上からDNAが検出されており、5,700個体ほどは、LAMP-PCR法を用いたマンソン住血吸虫の検出に供された。その結果、感染率に季節変動が認められた。住血吸虫の検出は引き続き行い、住血吸虫の多型解析は、今後実施予定である。 2)環境DNAの解析に関して、下水を用いて新型コロナウイルスの伝播モニタリングに成功した企業との共同研究を始動した。今後、協力企業との共同研究を進める。 3)リモートセンシングを用いた地形と水位変動の関係、および、それらの感染率への影響を解析していく予定である。 4)血中IgGに加えて尿中IgGの検出が、感染伝播モニタリングとして高感度で有効に機能することが示されたので、どのような条件で有効に機能しうるのか?という疑問に答えるべく更なる調査・研究を進めていく。
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Research Products
(7 results)