2022 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の新規概念「毒性終末糖化産物(Toxic AGEs)原因説」の確立
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21H04865
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
竹内 正義 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20154982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70397199)
瀧野 純一 広島国際大学, 薬学部, 講師 (00440529)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 毒性終末糖化産物 / Toxic AGEs (TAGE) / TAGE原因説 / TAGE修飾蛋白質 / 細胞障害 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においては、以下の研究を実施した。 【1】肝細胞障害:1)各種肝細胞をglyceraldehyde (GA) で処理すると細胞内に各種TAGE修飾蛋白質が蓄積し、細胞障害を引き起こすことが明らかになった。また、細胞外TAGEは周辺の肝実質細胞や星細胞、癌細胞にも影響を及ぼすことが示された(Cells 2022, 11: 2178; Antioxidants 2023, 12: 748)(坂井、竹内)。2)新たにGA耐性株2株を獲得した(石垣、中村)。【2】心筋細胞障害:心筋保護機能を示す心臓線維芽細胞をGA処理すると細胞内TAGE蓄積に伴って細胞死が引き起こされたが、細胞外TAGEの影響はみられなかった(Metabolites 2022, 12; 615; Cells 2022, 11: 2178)(高田、竹内)。【3】神経細胞障害:神経細胞をGA処理すると、β-チューブリンのTAGE修飾を伴う異常凝集を引き起こして軸索伸長を阻害することを見出した(Front. Pharmacol. 2022, 13: 921611; Cells 2022, 11: 2178)(郡山、古川、研究協力者、竹内)。【4】血管内皮細胞障害:RasGRP2安定過剰発現株をGA処理するとMock株に比較して細胞生存能の減少が有意に抑制された(瀧野、宮崎、研究協力者、竹内)。【5】小腸上皮細胞障害:hiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いた実験を実施する前に、Caco-2細胞を用いて実験条件を検討した結果、GA濃度依存的に腸管バリアが障害されることが明らかになった(松永、堀、研究協力者、竹内)。【6】TAGE蓄積抑制化合物の探索:TAGE特異的評価系を用いて、細胞内TAGE蓄積を抑制する化合物の探索を実施した結果、塩基性アミノ酸や栄養素にTAGE抑制効果があることが明らかになってきた(竹内、坂井)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の実績に基づき、令和5年度は以下の研究計画を継続して実施する。 【1】肝細胞障害(金沢医大G):1)TAGE修飾蛋白質の分離・同定、及びTAGE修飾蛋白質に結合する細胞内因子などを検証する(継続)。2)新たなGA耐性株の獲得を継続して実施し、TAGE代謝の新たな機序を明らかにするために、獲得した複数のGA耐性株の性格付けを行う。また、網羅的な遺伝子発現解析などを実施して耐性獲得の分子機構を明らかにする。【2】心筋細胞障害(金沢医大G):1)心筋細胞を用いて、TAGE修飾蛋白質を分離・同定する(継続)。2)また、TAGE修飾蛋白質に結合する細胞内因子などの存在を検証する。【3】神経細胞障害(鈴鹿医療大G):1)β-チューブリンのTAGE修飾に伴うチューブリン凝集が軸索伸長に及ぼす影響を、成体中枢神経再生モデルを用いて精査する。2)GA処理によるアストロサイトに対する障害やその生理学的意義について検証する(継続)。【4】血管内皮細胞障害(広島国際大G):1)樹立したRasGRP2安定過剰発現株とそのMock株を用いて血管内皮細胞における細胞内TAGE蓄積及び細胞外TAGEと細胞障害機序を検証する(継続)。【5】小腸上皮細胞障害(名古屋市大G):1)hiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いた実験を実施するにあたり、Caco-2細胞を用いて詳細な実験条件を検討する(継続)。2)GA添加による細胞内TAGE蓄積と細胞障害機序の解明、及び細胞外TAGEや食事性AGEsなどの腸管バリアに及ぼす影響を検証後、hiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いた実験を検討する。【6】TAGE蓄積抑制化合物の探索(金沢医大G):1)各種細胞にGAと候補化合物を添加して培養し、各細胞に対するTAGE蓄積の抑制効果をTAGE特異的評価系を用いて検証する。また、疾患モデル動物への投与の可能性を検討する。
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Remarks |
1) 研究協力者(坂井): 北国健康生きがい支援事業(令和4年度金沢医科大プログラム)における発表(「蛋白が糖まみれに?見直そう食生活」)が新聞にて報道(2022年11月23日、北國新聞) 2) 研究分担者(郡山): 健康ねっとコラムに研究内容が紹介(https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/interview/20549)
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Research Products
(59 results)