2021 Fiscal Year Annual Research Report
ブロックチェーンを持続可能にする数理的・実験的研究
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21H04872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
首藤 一幸 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (90308271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 賢爾 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授(任期付) (10383928)
坂野 遼平 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (30832521)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / 安全性 / 分権性 / インセンティブ整合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全性:ブロック伝搬の高速化手法をいくつか提案し、そうした高速化を踏まえた性能(TPS)とセキュリティのトレードオフ調整手法を提案した。高速化手法の1つ目は、配信木を構築して、その上でブロックを伝搬させる手法である(Banno, IEICE Communications Express)。2つ目は、ブロック受信中でも他のノードからブロックを受信可能となったら、そちらに乗り換えることで送信の負荷を移して軽減する手法である(櫻井, 信学会 技術研究報告)。伝搬が速くなることで、フォーク発生率が下がり、安全性が向上する。伝搬が速くなったことで生まれた余裕の分、ブロック生成間隔を短縮することで、安全性を維持したまま、性能(TPS)を向上させる手法も提案した(荒川, 信学会 技術研究報告)。
分権性:ノードが保持する必要のあるデータを大きく減らす手法を2つ提案した。これにより、ノードの立ち上げ・運用が容易になり、運用者が増え、分権性が向上することが期待できる。1つ目は、トランザクションはノードではなく、ブロックチェーンを利用する側のクライアントが保持することとし、ノードはトランザクション群の整合性を確認するための情報のみを持つ手法である(Nagayama, IEICE Transactions)。2つ目は、多くのノードは、使用済みTXOは保持せず、未使用TXOのみを保持する手法である(Song, DEIM)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安全性、分権性の研究が大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
安全性については、ブロックチェーン自体の安全性を向上させる研究に限らず、攻撃手法の調査と考案も進める。分権性についても同様で、向上させる研究に限らず、既存ブロックチェーンの分権性の調査や考察も進める。
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