2023 Fiscal Year Annual Research Report
情報の取得を包含した制御理論と統計的学習理論の融合数理基盤
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21H04875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加嶋 健司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60401551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 凱 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (20728266)
河野 佑 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (40743034)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 制御理論 / 統計的学習理論 / 機械学習 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では機械学習手法に簡単には組み込めないダイナミクス特有のドメイン知識を活用したモデリング手法を開発することを目指している。これに関して、本年度は、定常応答の事前情報を活用するダイナミクスモデリング、離散事象システムにおけるデータ駆動制御、動的システムにおけるエントロピーと最適輸送の関係性の解明と活用、分布情報にもとづくダイナミクスモデリング、などの理論構築を行った。例として、最適輸送に関する結果においては、静的な最適輸送問題に対して広く用いられているSinkhornアルゴリズムを、モデル予測制御という実用的な制御手法に応用し、さらにその安定性を証明することに成功した。この成果は、システム制御分野のトップジャーナルのひとつであるAutomaticaにおいてEditors' Choiceに選出されている。他にも、システム制御分野のトップジャーナルを多く含む9編の査読つき国際論文誌の出版や、計測自動制御学会論文賞を受賞するなど、国内外で広く成果が認められ始めている。また、これらの理論結果について、研究代表者が参画している未病発見に関するムーンショットプロジェクトやモビリティ社会に関する産学連携プロジェクトへの応用展開も平行して検討しており、成果を社会へ還元する一手法となることを期待している。また、Gromov-Wasserstein距離にもとづく最適輸送と確率制御の関連を明らかにする計画外の研究も実施し、一定の成果が得られた。この距離関数は異なるドメイン間の性質的差異を許容する特徴をもつため、本課題にとってもその意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項で述べたように、予定していた結果を順調に導出し、適切なタイミングで出版をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では機械学習手法に簡単には組み込めないダイナミクス特有のドメイン知識(以下では非データ型ドメイン知識と呼ぶ)を活用したモデリング手法を開発す る。本年度は、最適輸送理論、最大エントロピー制御に関する研究など多くの個別課題が着実に進んでいるため、継続的に論文投稿をおこなう。応用においては、昨年度まで雇用していたオピニオンダイナミクスを専門とする研究員との共同研究を継続し、ネットワークモデリング手法の有効性を検証する。 一方で、並行してCyber Physical Systemsなどの数理モデルにおいて頻出する微分/差分方程式では捉えづらい論理演算を内包するダイナミク ス(離散事象システ ム)に対するデータ駆動型システム制御理論の構築に関する研究も継続する。具体的には、前年度に世界に先駆けて国際会議で発表したデータ有用性の概念にもとづいて、 データ駆動設計手法を体系化・論文化をすすめる。さらに、前年度に計画外に実施し一定の成果が得られたGromov-Wasserstein距離にもとづく最適輸送と確率制御の関連を明らかにする研究に関して、実質的に最終年度となる本年度に発展可能性を検討し、次の研究課題申請へのステップとなるか検討する予定である。
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