2022 Fiscal Year Annual Research Report
外部制御可能な分子通信を利用した脳腫瘍監視制御システムの設計と概念実証
Project/Area Number |
21H04876
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
中野 賢 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (70571173)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 分子通信 / 情報ネットワーク / ナノ医療 / 生命科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、外部制御可能な分子通信の基本概念に基づて、全く新しい脳腫瘍監視制御システムを設計し、その概念実証を行うことであ る。外部制御可能な分子通信とは、生体・非生体インタフェースを介してバイオナノマシンを外部機器(電子機器)から制御できるように拡張した分子通信である。脳腫瘍監視制御システムの設計においては、がん細胞と周囲の細胞の間で交換されるメッセージやがん細胞どうしで交換 されるメッセージを収集、分析、制御することで、がん細胞の増殖を抑える方法を考える。がん細胞が送受信するメッセージを制御できるよう になれば、がん細胞が血管にアクセスすることを回避したり、がん細胞集団が形成する構造を特異的に破壊できる可能性がある。本研究はまた当該分野最大規模となる概念実証を行い、設計するシステムの実用可能性を検証する。
2022年度は、がん細胞集団が血管様構造を形成する原理を理解することを目的として、血管様構造形成の3次元数理モデルを個体ベースモデルに基づいて構築した。構築した数理モデルでは、個々のがん細胞が他のがん細胞との間に働く種々の力によって3次元空間を移動する。また、細胞分裂をすることにより増殖する。本研究ではまた、構築した数理モデルに基づくシミュレーション実験を行った。シミュレーション実験では、数理モデルのパラメータががん細胞集団が形成する構造に与える影響を分析した。さらに本研究では、シミュレーション実験の結果と培養癌細胞実験の結果を比較し、構築したモデルの妥当性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進み、研究成果を残すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、がん細胞同士およびがん細胞と基質の相互作用を制御することにより、がん細胞集団が血管様構造を形成する過程を阻害する方法や、がん細胞集団が形成した血管様構造を破壊する方法を検討する。
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