2022 Fiscal Year Annual Research Report
Embedding Expressive Functions into Soft Objects and Designing Interactions Based on EHD Fluid Control
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21H04882
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筧 康明 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40500202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 真吾 東京工業大学, 工学院, 教授 (40424808)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | Electrohydrodynamics / 流体制御 / マテリアルインタラクション / フィジカルディスプレイ / ソフトアクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はEHDを用いたマルチモーダルな情報提示とインタラクションとして3つのテーマに取り組んだ。一つは、EHDによる液体の適量供給と小型ペルチェ素子による加熱制御による、小型で静音なパウチの膨張・収縮を用いたインタフェースである。設計・実装と共に、ソフトロボット、形状ディスプレイ、照明などインタフェースとしての応用を示した。二つ目は、EHDによる液体撹拌を用いて、立体物の動的な透明度制御に取り組んだ。液体の混合比率による透明度変化の違いなど明らかにし、3Dプリンタ等を用いて造形した立体に内蔵可能な装置設計に取り組んだ。三つ目は、EHDを用いて物体内部での液体(重心)位置を制御し、物体の傾きを変える機構を設計・実装した。この機構を複数台並べ同期駆動した装置を作品としてArs Electronica Festival 2022に出展し展示を行った。観客の反応を得るとともに、長期の展示を通して装置の耐久性を確かめた。
複数のEHD回路の連動による流路の切替えや、ソフトマテリアルの変形による流動の阻止、分岐、蓄積など、流路の柔らかさを保ったまま複雑な挙動を制御する手法について検討を行った。特に、複数のEHDポンプの同期制御による流路内での色水の搬送を可能にする流路設計および制御を提案し基礎的な動作検証を行った。
EHDポンプのインタフェース応用に向けて、流量の自己検知機能を持つEHDポンプを開発した。EHDポンプでは、EHD流れによるイオン濃度分布の不均一性から、イオンが濃い領域から薄い領域へ移動し、拡散電流が発生する。また、移流拡散方程式から拡散電流は流量の1/3乗に比例する。本研究ではこの関係を用いて、自己検知EHDポンプのメカニズム、モデル、性能を明らかにするとともに、実装に向けてワイヤレス、ポケットサイズの熱制御システムを構築し有用性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において開発したモジュール型のキットでEHDの回路の作製を支援するHydroModが、HCI領域のトップカンファレンスであるCHI2022にてHonorable Mention Award(投稿された論文のうち上位約5%の論文が受賞する賞)を受賞するなど、非常に高い評価を受けている。また、HydroModの回路をベースにして開発したアート作品がメディアアートの国際的祭典であるArs Electronica Festival 2022に招待展示され、作品として評価を受けたのみならず期間中に安定した展示を実現できた点で、応用展開としても高い可能性を見出すことができた。このほか、本年度も国際会議への論文採択など順調に成果を積み上げることができており、全体として当初の計画以上の進展があると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づいて、今後も研究を進めていく予定である。最終年度は特に、「やわらかい」モノへの機能埋め込みという部分によりフォーカスし、研究を進める。また、入力機能とアクチュエーションを接続したインタラクションの提案についても力を入れて進めたい。
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Research Products
(8 results)