2021 Fiscal Year Annual Research Report
体内深層内部の極小部位を超高精細に可視化する次世代MRI信号解析法に関する研究
Project/Area Number |
21H04891
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣林 茂樹 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (40272950)
|
Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
Keywords | 信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小空間の撮像を評価するための物理ファントム作成を行った。MRIによるこれまで以上の微小空間の観察に向けて、各国の研究グループは動物実験用装置や物理ファントムを自作して微小空間観察に関する研究を活発に行っている。MRI装置の性能評価を行う際は、既存の物理ファントムを用いてコントラストや分解能を評価することが一般的である。しかし、一般的な物理ファントムは従来のMRI装置の性能を基準として作成されているため、既存のMRI装置の性能を大きく上回る撮像環境は想定されておらず、微小空間を想定した評価を行うことは困難である。 そこで、本申請では、微小空間を想定した物理ファントムを自作し、不等間隔サンプリングと高精度解析によるMRI画像の厳密な評価を行う予定である。物理ファントムを用いて撮像することで、観察対象の正確な位置や強度をあらかじめ把握できる。生体実験では、常に生体活動が生じる観察対象の正確な位置を把握することは不可能であり、再構成画像の位置情報等を厳密に評価することは困難である。特に、微小空間の観察では、呼吸や心拍、体動によって生じる数μm~数mmの変位によってMRI画像における観察対象の位置が大きく変化してしまう。そのため、不等間隔サンプリングと解析手法による位置誤差を評価するには、動きが固定された物理ファントムを用いることが良いと考えた。人体の毛細血管は1mmに8~12本存在し、直径は約0.1mmである。物理ファントムでは、CAD等のソフトウェアを用いて毛細血管を簡易モデル化し、光硬化性樹脂を材料に光造形方式(SLA法)の3Dプリンターを用いて微小構造を再現した。また、人体内部と性質が類似しているガドリニウム造影剤の原液等を用いて生体内環境を構築し、毛細血管を想定した微小構造と組み合わせたような物理ファントムを作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理ファントム計測実験を実施予定だった研究協力者の不測の病気により、実験が困難 となったため、その実験結果を用いた不等間隔データのアーチファクト軽減の検証をす ることができなかったが、それ以外は計画通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
不等間隔データにおけるNUNHAのアーチファクト軽減に関する検証を行う予定である。不等間隔データにおけるNHAの精度を検証するため、前年度で作成した自作ファントムを用いて計測データの削減率と再構成画像の関係について、PSNRを用いて画質評価を行う。 不等間隔サンプリングにおいて、ラジアルは、動きに対してロバストなためDCE-MRIによく利用さている。スパイラルは灌流画像等のリアルタイムスキャンに適しており、患者の動きやエリアシングアーチファクトの影響を抑制することが出来る。ランダムは、少ないデータから高精度の画像を復元する圧縮センシングで利用されており、近年はパラレルイメージングとの併用により一層高速化が期待されている。 既に申請者等の予備実験において、NUFFTの分解能以下に設置した数値ファントムをスパイラル軌道で計測したデータに対し、NUNHAはサイドローブとアーチファクトの影響を抑制した再構成画像を確認した。そこで、ラジアルやランダムの不等間隔データに対しても検証実験を行い、アーチファクトやサイドローブの影響をシミュレーションにより評価する。また、データ削減率とPSNRより、各不等間隔データにおいて最も効率的な計測軌道を検証する。
|