2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel high-efficiency, high-stability energy conversion system for salinity gradient power generation
Project/Area Number |
21H04942
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
比嘉 充 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30241251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 祐麻 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00577489)
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40345393)
通阪 栄一 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40363543)
木村 睦 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60273075)
Jiang Fei 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60734358)
垣花 百合子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (90592014)
田中 俊彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00179772)
奥村 哲也 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (10380817)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 塩分濃度差エネルギー / 逆電気透析発電 / イオン交換膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では国産の再エネ型ベースロード電源となり得るRED発電システムの実用化を目指して超薄膜・超低抵抗イオン交換膜, 凹凸流路一体型セルで構築された高効率SGE変換セル, RED前処理に特化した陽・陰イオン交換ナノファイバーろ過装置, スタック洗浄法, REDシミュレータおよび原型モジュールを開発する. 本年度では, 超薄膜・超低抵抗イオン交換膜を作製するために化学気相蒸着(CVD)により膜厚100nm以下の荷電膜を得ることに成功した. REDスタック内の流路形状が圧力損失に及ぼす影響について数値シミュレーションを行った結果,流路の出入口付近での圧力損失が大きく,この領域の流路幅を広げることで損失が小さくなることが判明した.また膜表面に凹凸構造を有するプロファイル(PF)膜を使用した流路に対して流体力学解析を行い,このPF膜を用いることで発電出力密度が1.4倍以上になる高効率SGE変換セルを開発した. RED用前処理装置を構築するために生産性に優れたナノファイバー(NF)製造方法である溶液ブロー紡糸法を用いて負荷電を持つパーフルオロスルホン酸アイオノマーNFを作製した. また国内4つの下水処理場からサンプリングした下水処理水を分析した結果, 嫌気性処理を組み込んだ下水処理場がREDに適していることが判明した. またSGE変換ユニットを模倣した微小流路内に形成させたバイオフィルムを3Dイメージング技術で定量化し, 洗浄方法を検討した. その結果, スペーサーに付着したバイオフィルムに対し, 酵素洗浄が有効であることが判明した. REDシステムを系統連携するために, 構築した RED シミュレータと絶縁機能を有しながら最大電力点追従制御を実現可能なDC-DC コンバータと連携インバータモデルを構築し,商用系統へ最大で 400 W の電力が注入可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では, 超薄膜・超低抵抗イオン交換膜を作製するために化学気相蒸着(CVD)による荷電薄膜形成のための新規シクロファン化合物の合成と成膜プロセスの検討を行なった. 3級アミン側鎖を持つシクロファンのCVDによる重合により, 膜厚100nm以下の荷電膜を得ることに成功した. REDスタック内の流路形状が圧力損失に及ぼす影響について数値シミュレーションを行った結果,流路の出入口付近での圧力損失が大きく,この領域の流路幅を広げることで損失が低下することがわかった.また膜表面に凹凸構造を有するプロファイル(PF)膜流路に対して流体力学解析を行い,この結果に基づいてプロファイル(PF)膜を作製した. このPF膜を用いたスタックにおける発電出力密度は平膜より1.4倍以上高い値を示した. REDに特化した前処理を開発するために, 生産性に優れたナノファイバー(NF)製造方法である溶液ブロー紡糸法を用いて負荷電を持つパーフルオロスルホン酸アイオノマーNFを作製した. またRED発電に最適な下水処理方式を探すために国内4つの下水処理場からサンプリングした下水処理水を分析した結果, 嫌気性処理を組み込んだ処理プロセスの下水処理場がREDスタックに適していることが判明した. さらにSGE変換ユニットを模倣した微小流路内に形成させたバイオフィルムを3Dイメージング技術で定量化し, 洗浄方法を検討した結果, スペーサーに付着したバイオフィルムに対し酵素(プロテアーゼ)洗浄の有効性が判明した. 先行研究で得られたRED の I-V 特性から電力変換器用シミュレーションソフトウエア PSIM 上でRED シミュレータと, 絶縁機能を有しながら最大電力点追従制御を実現可能なDC-DC コンバータと連系インバータモデルを構築し,商用系統へ最大で 400 W の電力が注入可能であることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
超薄膜・超低抵抗イオン交換膜を大面積で作製するために10x10cm角の不織布上への無欠陥荷電膜の成膜を行い, 塩分濃度差発電用スタックの搭載を行う. 塩分濃度の移流拡散を考慮した流路流れ解析手法の開発及び最適化設計による流路改良方法の検討を行う. そしてその設計に基づいてPF膜の凹凸構造の最適化を行い, 大面積を有するPF膜を作製して, その発電特性を評価する. REDの大型化における問題点を解決するために, 浸透を考慮したシミュレーションを実施し,流路形状と濃度分布や浸透量の関係を検討する. これらの流体解析の結果に基づいた流路構造の最適化を行い, 300対の原型スタックの設計と製作を行い, 模擬塩水と実海水などを用いた発電評価を行う. REDに特化した前処理を開発するために正荷電を持つナノファイバーと負荷電を持つナノファイバーを同時塗工することで30cm×50cmサイズのIE-NF膜の試作・評価を行う. 原水中に含まれる汚れ物質によるファウリングや生物によるバイオファウリングが発生したRED用スタックの最適な洗浄法を確立するために抗菌剤を用いたバイオフィルム形成の抑制法についても検討する. 昨年度構築した計算機シミュレーションを用いて,実験室レベルの縮小モデルの構築に着手する. はじめに,汎用プログラマブル直流電源と Python を用いたRED シミュレータを研究室レベルで開発し, 開発した RED シミュレータを用いて,定常状態のみならず過渡状態でも先行研究で得られた I-V 特性を正しく模擬することを実験的に確認する.
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