2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of coherent Raman scattering microendoscope and application to unstained in-situ diagnosis
Project/Area Number |
21H04950
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 守 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (70237949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七戸 俊明 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70374353)
新岡 宏彦 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任准教授(常勤) (70552074)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 非線形ラマン散乱 / 内視鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,組織のCARS(coherent anti-Stokes Raman scattering)信号を得ることができなかった原因には,光ファイバーバンドルの個々のコアがマルチモードになっていること,射出された光の偏光状態がコアによって異なることが挙げられる.そこで,より小さなコア径の光ファイバーバンドルの使用,一対の電気光学変調器(EOM)を用いた偏光補償を行なった. 従来のコア系8.3 μmのものを4.6 μmのものとした.この結果,709 nmで偏光度が0.141から0.142,888 nmで0.364から0.374と若干の変化に留まったが, 2光子検出器(レーザー光の1光子エネルギーよりもバンドギャップが大きく,2光子吸収による信号のみが出力される)へ集光した際の信号は,709 nmで60.3 mVから 6.86 V,19.3 mVから1.27 mVと大きく向上した(500 μWの入射).単純計算すると,CARS光強度として3桁の向上が見込まれることが分かった. また,光ファイバーに入射する前の偏光状態を制御することで,光ファイバーで伝達された光の偏光を設定した状態へと導くものである.本研究で提案している手法でイメージングを行うためには,伝送する光ファイバーバンドルのコアを切り替えるために,レーザービームを走査する必要がある.したがって,高速に偏光状態を切り替える必要があるため,EOMを用いることとした.また,光ファイバーへ入射する前に任意の偏光状態とするために,一対のEOMを用いた.射出した光の偏光状態を回転検光子法を用いて計測し,ダウンヒルシンプレックス法により任意の角度の直線偏光を得られるか検討した.数回(5-7回)程度の反復により,理想的なCARS光強度に対して86 %以上の信号を得られる状態へと制御できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織のCARS(coherent anti-Stokes Raman scattering)信号を得ることができなかったことが原因となり,研究の進展が遅れていた.コア系8.3 μmのものを4.6 μmのものとすることで,より大きな信号取得が見込まれることが分かり,また一対の電気光学変調器(EOM)を用いた偏光補償により,より高効率かつ均一なCARS光取得が期待できることが分かった.早急に観察システムを構築し,組織の観測を可能とする.
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Strategy for Future Research Activity |
ウォラストンプリズム,2波長波長板,GRINレンズから成るプローブヘッドの製作を行い,コア径の小さな光ファイバーバンドルを用いたプローブ型CARS顕微内視鏡(プロトタイプ)を実現する.これまで2ビームを同じガルバノミラーを用いてビーム走査していたが,2ビームを独立に走査することで,光学系の調整を容易なものとする.また,各ビームの偏光状態を制御する偏光補償によるビーム走査時のCARS光強度の高効率化と均一なイメージの取得を実現する.動物およびヒトの癌組織観察により開発した装置の実用性を検証する.また,顕微鏡画像とプローブ型CARS内視鏡での深層学習結果の正解率を統計的に比較することで,プローブ型CARS内視鏡の程度診断能力を客観的に評価する.
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