2022 Fiscal Year Annual Research Report
材料的・流体的力学的挙動による大動脈解離発症メカニズムの解明と医療応用への試み
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21H04955
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
加藤 輝 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任助教 (30391915)
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70718311)
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / 高血圧 / 力学環境 / 間質流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1.大動脈解離モデルマウスの作製,2.仮説1「せん断変形による大動脈解離」の形成の検証,3.仮説2「間質流増加による大動脈解離」の検証,4.応用への試み,を研究全体像として計画した. まず,1.大動脈解離モデルマウスの作製については,本年度もアポリポタンパク質E欠損マウスにアンギオテンシンIIを投与したマウスモデルを作製し,各種実験で使用した.また,βアミノプロピオニトリルを飲水させる大動脈解離モデルも試行した.ラットで十分な血管サイズが得られることが判明したため,予定したウサギではなくラットで実施した.しかし,既報による期間の飲水をさせても大動脈解離が発生しなかった.一方で血管形状に異常は見られており,今後飲水投与期間をさらに伸ばすことにより,大動脈解離が発生するモデルとする予定である. 次に,2.仮説1「せん断変形による大動脈解離」形成の検証であるが,昨年度レーザ不具合が発生したために検証できなかった.一方で,層構造を成す大動脈の層間の剥離接着強さを計測することとし,正常血管と大動脈解離の性質の一つであるエラスチンを減少させたモデルを用意した.結果,エラスチンを減少させた血管での剥離接着強さが低下しており,エラスチンの減少が大動脈解離で見られる層間の剥離を生じさせる可能性を示した.画像解析については,未だ画像から変形量計測手法の確立には至っていない. また,仮説2「間質流増加による大動脈解離」の検証では,間質流を含む力学刺激有の系と,間質流以外の力学刺激有の系を確立し,両者で血管壁を比較したところ,間質流を含む系でのみ,大動脈解離で見られる血管壁性状を示す結果が得られた.よって,間質流が大動脈解離に影響していることを示唆することとなった. 最後に,4.応用への試みとして,外部機関の超音波エコーを用い,マウスの大動脈壁変形挙動の計測を試行した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管壁のせん断変形についてはやや遅れているものの,それ以外の部分は順調に進行しており,また新たな結果による成果も見られているため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の計画通り,予定を進める.
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Research Products
(9 results)