2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規メカニカル負荷装置の開発を通した次世代メカノメディスンへの挑戦
Project/Area Number |
21H04960
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40252233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 雅祥 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10346075)
高橋 賢 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (50432258)
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (60432639)
森松 賢順 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70580934)
入部 玄太郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90284885)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ストレッチ・静水圧負荷装置の開発:バルク型および顕微鏡型の開発を行った。基本設計は終了しており、微調整を行っている。 2. 軟骨に対するマルチメカニカルストレスへの応答解析:高圧受容応答メカニズムの解明を最終目的とし、高静水圧刺激による細胞及び、細胞内分子の挙動計測を実施した。定常圧力20 MPa以上の圧力を1時間負荷した際、シグナル伝達物質に関わるSmad 3タンパク質の細胞質から細胞核内への核移行が観察された。この圧力に依存したSmad 3の核内移行過程には、TGF-β receptor の活性化やImportin bとの結合が必要であることが分かり、高静水圧に依存したSmad 3核内移行メカニズムの提案が可能となった。 3. 心筋細胞に対するマルチメカニカルストレスへの応答解析:循環器における機械感受性イオンチャネルTRPV2の役割を、組織特異的TRPV2ノックアウトマウスを用いて、明らかにしてきた。その過程で、TRPV2は、心臓への圧負荷依存的肥大や心不全、血管の筋原性緊張や肥厚などに大きく関与する因子であることが明らかとなった。 4. 剪断応力・ストレッチチャンバーでのiPS心筋細胞3次元培養:剪断応力とストレッチの同時刺激が可能な臓器チップを用い、血管内皮細胞を播種した状態で、血管収縮の調節因子である一酸化窒素(NO)のライブイメージングを行った。その結果、ストレッチ刺激および圧力刺激に応じたNOの放出が確認された。 5. 心筋細胞標本の機能評価:心筋細胞のメカニカルストレスとそれに対する応答及び応答伝播の相互関係を観察するため、細胞を直列に配列させる培養法の開発を行った。フォトエッチング技術により描画した直線状パターンを鋳型としたPDMS製のマイクロ流路を作製し、これをイオンボンバーダーで親水処理した。これを用いてマウス幼若心筋細胞を播種することで、細胞を一次元的に配向させた状態で培養することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレッチ・静水圧負荷装置の開発は、基本設計は終了している。 マルチメカニカルストレスへの応答解析に関し、軟骨細胞における圧力刺激応答の細胞内情報伝達メカニズムの一部を明らかにした。 また、マルチメカニカルストレスへの応答解析に関し、膝軟骨細胞における機械感受性イオンチャネルTRPV2活性の低下が、膝軟骨細胞の形質転換をひき起こして、変形性膝関節症を招くことを明らかにした。 さらに、マルチメカニカルストレスを負荷する臓器チップシステムのパイロット実験では細胞の機械感受性応答の記録に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
①静水圧下ストレッチシステムの開発 PC制御可能高圧ポンプの開発:静水圧加圧時間と減圧時間及び負荷圧力範囲を正確に制御(0.1~40 MPa)する.現行の高静水圧ポンプのピストン部をステッピングモーターにて吐出量・吐出スピードをコントロールする.高静水圧顕微鏡下でのストレッチシステム:マルチメカニカルストレス負荷システムの顕微鏡用高静水圧チャンバーの内部高さを現行の1 mmから5 mm程度に変更する.数100 μm程度の視野を確保し、片側ストレッチにて視野内で10%のストレッチを行い、細胞観察を行う.また、ストレッチチャンバーの片側に金属片を取付け、電磁石による制御を行う.高静水圧容器内でのストレッチシステム:高圧容器内部にインナーチャンバーを設置し、チャンバー内にストレッチシステムを構築する.顕微鏡タイプと同様に電磁石を用いたストレッチシステムを用いる. ②歯根膜・軟骨・心筋細胞に対するマルチメカニカルストレスへの応答解析 細胞内情報伝達機構の解明:高静水圧負荷による細胞応答の分子基盤を得るために、マイクロアレイ解析を行い、この細胞応答の主要ルートを見出し、接着斑挙動・細胞骨格挙動を詳細に行う.具体的には、カルシウム濃度可視化試薬を用いることにより細胞内カルシウム応答を高時間分解能・高空間分解能で測定する.さらに、GPCR等の圧力感受性候補分子と、その下流シグナル経路を見出す.剪断応力・ストレッチチャンバーでのiPS心筋細胞3次元培養:昨年度の研究で開発した、ヒトiPS由来心筋細胞、線維芽細胞、および血管内皮細胞から成る心臓モデルに伸展・圧力・剪断応力刺激を加え、機械刺激によって起こる細胞間コミュニケーションを明らかにする。iPS心筋細胞3次元培養標本機能評価:iPS心筋ブロックの収縮能はカーボンファイバーテクニックを用いた心筋メカニクス解析システムにて測定する.
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Research Products
(17 results)