2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development and therapeutic application of short mRNA therapeutics based on mRNA engineering
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21H04962
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
内田 智士 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20710726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 洋 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80415067)
弓場 英司 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80582296)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | mRNA医薬 / 中分子医薬 / mRNA工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19に対するmRNAワクチンの成功を受け、mRNAワクチン、医薬品の開発が盛んである。一方で、現在用いられているmRNAには、長鎖の2本鎖RNAや未キャップRNAといった副生成物が多量に混入しており、自然免疫応答を惹起し、翻訳過程を阻害するといった問題を引き起こしている。さらに、長鎖のmRNAを分解酵素から保護するためには、カチオン性輸送担体が必要となるが、輸送担体は組織傷害、毒性の原因となる。 これらの課題に対して、まず、mRNAを短鎖化し、完全化学合成を実現した。化学合成したmRNAは、従来法で調製したmRNAと比べ、培養細胞中で最大で5倍以上のタンパク質発現活性を示した。更に、皮膚がんの腫瘍関連抗原のがんエピトープを発現する短鎖mRNAを調製し、がんワクチンへ展開した。送達担体を用いることなく、組織透過性を向上させるための特殊な装置を用いて、皮内へmRNAを送達することで、優れた抗腫瘍効果を得ることに成功した。 また、並行して、mRNA自体の機能向上も試みることで、輸送担体を用いないmRNA送達技術の構築も行っている。ここでは、独自に開発した相補鎖RNAを用いたmRNAの修飾を行った。この方法では、相補鎖長を17塩基にすることで、mRNAの翻訳活性を損なうことなく、mRNAに様々な機能性修飾を行うことができる。本研究では、この方法を応用し、mRNAを新たな方法で構造化することで、酵素分解耐性を向上することに成功した。その他に、mRNAに様々な親水性ポリマーを結合させた際の効果に関して、有望な知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、完全化学合成したmRNAを、輸送担体を用いることなく投与することで、治療効果を得ることを目的としていた。その中で、完全化学合成mRNAを用いることで、従来法で調製したmRNAを上回る機能を得られ、更に、完全化学合成mRNAを用いたがんワクチン治療に成功した。特に、がんワクチン治療は、腫瘍関連抗原を標的とした実際の臨床を反映したモデルであり、その価値は非常に高い。このように、当初の研究目標に対するproof of conceptを2年間で得ることに成功したので、当初の計画を上回る進捗であるといえる。 その他に、並行してmRNA自体の機能向上の技術開発でも有望な成果が得られ、輸送担体を用いないmRNA送達に向けた基盤も構築されている。また、mRNAの純度、副生成物がその機能に及ぼす影響についての知見も得られた。この成果は、高純度mRNAの医療応用を目指す本研究の意義を補強している。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように既に本研究全体のproof of conceptが得られたが、今後はその成果をより深めることに注力する。まず、治療応用に関して、ペプチドを発現する短鎖mRNAのワクチン以外への応用を模索する。ここで、ペプチドを用いて生理活性を得るためには、ペプチドの構造安定化が必要となる。ペプチド医薬の多くは、非天然アミノ酸の導入や環状化等の手法で、構造安定化を行っているが、mRNAからは天然直鎖のペプチドが生成する。このような課題を克服するための配列設計を検討するほか、実際に生体内で機能している生理活性ペプチドの活用を試みる。培養細胞モデル系を用いて、様々なmRNAの機能検証を行い、そこで優れた成果が得られた場合は、in vivoへと展開する。 また、mRNAの設計技術に関して、相補鎖を用いた修飾技術で、酵素分解耐性を向上させるための基盤を構築している。今後は、実際の治療応用で検討するin vivo投与系において、その機能を検証する。mRNA単体での投与のほか、毒性の原因となるようなカチオン性脂質やポリマーを用いない輸送担体の検証を行う。まず、レポーターを用いた評価系が十分な長鎖mRNAを用いて検証し、優れた成果が得られた際は、短鎖mRNAの系に落とし込む。 短鎖mRNA機能に関する生物学的なメカニズム検証も重要である。既に長鎖mRNAと短鎖mRNAの細胞内での翻訳機構の違いに関する知見を得ており、今後、この知見を深める。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Block catiomers with flanking hydrolyzable tyrosinate groups enhance in vivo mRNA delivery via マ?窶苫? stacking-assisted micellar assembly2023
Author(s)
Wenqian Yang, Takuya Miyazaki, Yasuhiro Nakagawa, Eger Boonstra, Keita Masuda, Yuki Nakashima, Pengwen Chen, Lucas Mixich, Kevin Barthelmes, Akira Matsumoto, Peng Mi, Satoshi Uchida, Horacio Cabral
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Journal Title
Science and technology of advanced materials
Volume: 24
Pages: 2170164
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Complete Chemical Synthesis of Minimal Messenger RNA by Efficient Chemical Capping Reaction2022
Author(s)
Naoko Abe, Akihiro Imaeda, Masahito Inagaki, Zhenmin Li, Daisuke Kawaguchi, Kaoru Onda, Yuko Nakashima, Satoshi Uchida, Fumitaka Hashiya, Yasuaki Kimura, Hiroshi Abe
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Journal Title
ACS Chemical Biology
Volume: 17
Pages: 1308-1314
DOI
Peer Reviewed
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