2021 Fiscal Year Annual Research Report
Search for rare muon decay with highest sensitivity to unravel grand unification of elementary particle
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21H04991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (30311335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 敏幸 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20376700)
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10534810)
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
越智 敦彦 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40335419)
松岡 広大 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (70623403)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 大統一理論 / 超対称性 / ミュー粒子稀崩壊 / 荷電レプトンフレーバーの破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の第一の目的であるMEG II実験については、2021年に読み出しエレクトロニクスWaveDREAMの量産が完了し、全ての測定器で全チャンネルの信号を読み出すことが可能となった。検討中の幾つかのミュー粒子ビーム強度でエンジニアリング運転を実施し、各測定器の最終調整を行った。また、ビームタイム後半には試験的な物理データの取得を実施することができた。液体キセノン検出器は、光センサー(MPPC)のビーム運転中における性能劣化現象に関する調査が進められ、ビームタイム前にアニーリングによる性能回復を行うことで年間を通した運用が可能であることがわかった。また、全チャンネルを用いた背景ガンマ線測定、荷電パイ粒子の荷電交換(CEX)反応による単色ガンマ線を用いた検出器較正を行い、性能を評価するための各種データを取得した。陽電子飛跡検出器(ドリフトチェンバー)については、前年に最適化された安定動作のための添加ガス条件でコンディショニングを行い、各ビーム強度での安定動作を確認した。ノイズ調査、ミュー粒子通常崩壊からの背景陽電子の飛跡測定、運動量分布測定などが行われた。 新実験測定器の要となる光子ペアスペクトロメータ用アクティブコンバーターの開発が進められた。アクティブコンバーターの候補物質の比較研究が行われ、LYSOが検出効率・エネルギー分解能・時間分解能の観点から最も適した物質であるとの結論を得た。さらにシミュレーションによるパイルアップ事象削減のためのセグメント形状の最適化が行われた。さらに、LYSO結晶を用いたアクティブコンバーターの試作機を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MEG II実験については予定通りに物理データ取得が開始され、2022年までに取得したデータを用いてアップグレード前のMEG実験を大きく上回る探索感度が得られる見込みであり、今年度以降も引き続き物理データを取得し目標実験感度達成を目指す。新μ→eγ実験については、実験の要であるアクティブコンバーター型ペアスペクトロメータの要素技術が十分な性能を持つことを示すことができた。当初の研究計画では、アクティブコンバーターであるシンチレータからのシンチレーション光をGasPMで検出し、コンバージョンペアによる時間測定のために多層RPCを使用することを検討していたが、SiPMで読み出すLYSO検出器で、エネルギーと時間の両方を精度良く測定できることが新たに判明した。これにより目標性能をより簡単にかつ確実に達成できる見込みが立った。これは当初の研究計画の想定を超える大きな成果であると言える。 さらに、MEG II実験液体キセノン検出器較正用の低エネルギー陽子加速器およびドリフトチェンバーを用いて、Atomki研究所で観測されたアノマリを高精度に検証することが可能であることを示し、2022年のビームタイム開始前の期間を利用して、アノマリを探索するデータを取得することができた。Atomkiアノマリは未知のボゾンの存在による可能性が指摘されており、独立にこのアノマリを検証するデータを取得した意義は大きい。さらに、本研究で開発した液体キセノン測定器技術を活用した実験装置でパイ中間子崩壊を精密に測定し、これまでにない精度でレプトン普遍性を検証する新実験PIONEERの実験提案書が完成し、PSIで採択された。本研究グループも中核として大きく貢献している。 以上のように当初の研究計画の想定を超える研究の進展があり、今後も関連した物理解析結果も得られる予定であるため期待以上の成果が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
MEG II実験については、本年度も引き続き長期物理データ取得を行う。2023年5月に予定されているビームタイム開始までに各測定器の準備作業を実施する。特に液体キセノンガンマ線検出器については、光センサーVUV-MPPCの放射線損傷により低下した光子検出効率をアニーリングにより回復する作業を終了し、データ取得再開に備える。並行して、2021-2022年度に取得した物理データを用いたμ→eγ探索解析を進める。順調に行けば令和5年度中の探索結果を公表できる見込みである。来年度以降も測定器性能・データ収集効率の改善等に取り組みつつ長期物理データ取得を継続していく予定である。2022年までに取得したデータで既にMEG実験の探索感度を超える見込みであり、いつμ→eγの兆候が見つかってもおかしくない状況となる。MEG II実験を実施しているビームラインを使用する他の実験グループの動向にも依存するが本研究期間内に目標実験感度に到達、μ→eγの早期発見を目指す。 新μ→eγ探索実験については、昨年度に引き続き、各測定器に使用する要素技術の開発を継続して行う。シミュレーションによるセグメントサイズの検討結果を踏まえ、より詳細なプロトタイプを用いた性能実証試験を行う。フォトンスペクトロメータ用コンバージョン電子陽電子飛跡検出器の技術選定のためのプロトタイプ製作を開始する。来年度以降は要素技術を組み合わせたプロトタイプを製作し、性能評価試験を行う。特にアクティブコンバータースペクトロメータについては、プロトタイプをMEG II測定器内に組み込み、性能評価試験を実施する。各要素の性能実証機を用いて目標測定器性能を実証した後、崩壊分岐比感度1.5×10^(-15)の新μ→eγ探索実験の計画を立案する。最後に実験提案書としてまとめ上げ、実際にPSIに提案することを目指す。
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[Journal Article] Real-Time Particle Identification in Liquid Xenon2021
Author(s)
Nicolo D., Baldini A. M., Bemporad C., Cei F., Chiappini M., Francesconi M., Galli L., Grassi M., Iwamoto T., Morsani F., Papa A., Sawada R., Signorelli G.
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Journal Title
IEEE Transactions on Nuclear Science
Volume: 68
Pages: 2630~2636
DOI
Peer Reviewed
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