2021 Fiscal Year Annual Research Report
Material evaluation technology that is opened up by spectroscopy principle based on the direct acquisition of optical response function
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21H05014
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
美濃島 薫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20358112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅原 彰文 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (00770091)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 光周波数コム / デュアルコム分光 / 分光特性評価 / 光位相制御 / 時間・空間特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光波の応答関数として特性を直接得る分光技術原理を創出することを目的とし、マルチコム光源とマルチ分光技術の開発を行う。 本年度は、計画の初年度にあたり、複数の光コムどうしが精密な関係を持つ光源を高度化して波長域拡大を行うとともに、分光対象拡大のために重要な分光信号検出の高感度化手法を検討した。 まず、光源開発においては、技術蓄積のある近赤外1.5μm波長域のエルビウムドープファイバレーザーの光コム出力をもとに、独自技術であるリング型共振器の左右回転双方向出力による一体型デュアルコムレーザーを高度化した。分散補償した光ファイバ増幅器を開発してコヒーレンスを維持しながら高出力化するとともに、光コムの繰り返し周波数とキャリアエンベロープオフセット周波数信号を検出して性能を評価し、受動安定化の実現を確認した。次に、波長域拡大においては、双方向型デュアルコムレーザーの出力をもとに、高非線形ファイバと導波路型非線形光学結晶によって高効率な波長変換を行い、豊富な分子の指紋領域として応用上有用な波長2-4μm帯の中赤外光と可視光領域の広帯域光発生を実現した。デュアルコム分光に適用するためには高コヒーレンスが不可欠であるが、実際に中赤外光の双方向出力を用いて波長帯ごとに相互干渉信号を生成したところ、全帯域にわたりシングルショットでインターフェログラム信号検出に成功した。さらに環境ガスとして重要なN2Oガスセルに適用して基礎特性評価を行い、中赤外分光への適用性を実証した。 さらに、光コムの位相制御を活用し、分光信号の高感度取得法を考案した。光コムの2つの周波数パラメータを電気的に制御し、動的な光干渉信号波形の位相を制御することによって分光情報の高感度化手法を実現した。シミュレーションと基礎実験を行って手法原理の妥当性を検証し、環境変動による長期不安定性に有効であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたマルチコム光源の波長拡大と高感度化手法の開発に関して、順調に進捗があった。特に、実用上重要な一体型デュアルコム光源においては、同時に発生する2種のパルスの非線形相互作用によって、変調による雑音発生が懸念され、非線形光学効果を利用した広帯域光発生過程において、コヒーレンスの劣化が懸念されていた。実際に、一体型デュアルコム共振器を用いて広帯域中赤外光を発生し、高いコヒーレンスを実証できたことは、分光用光源としての適用性を示すことができ、光源開発において最初の課題をクリアできたことを意味する。さらに、環境ガスに適用して、デュアルコム分光信号の取得を示すところまで進捗できた。また、分光対象の拡大に重要な高感度化手法において、光コムの位相制御性の特長を生かした新しい手法を考案し、原理検証を行うことができた。これらは次年度の進展に向け、大きな基礎となる成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
光源開発においては、さらに広帯域にわたって高強度かつ平坦なスペクトル出力をめざす。そのためには、まず、光増幅器を高度化し、コヒーレントかつ高増幅な増幅を目指す。同時に、非線形光学結晶の特性を最適化し、波長変換過程を高度化する。それにより、デュアルコム干渉信号の広帯域にわたるSN比向上を目指す。また、光コム共振器の環境安定性を高め、周波数標準に同期させて周波数絶対値を付与する。 分光技術においては、中赤外領域の標準的な試料におけるガス分光を行い、性能を詳細に評価して高度化する。同時に、中赤外分光の測定対象を固体材料などの新たな方向性へ展開することを検討し、開発技術の発展を試みる。さらに、光コムの位相を活用した分光技術を高度化し、高感度化・高分解能化を行うと同時に、偏光特性や高速信号、多点化信号検出などの高機能測定への適用を行う。加えて、マルチコム技術のさらなる高度化を目指す。
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Research Products
(32 results)