2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation and application of neural mechanisms that induce hibernation-like hypometabolic state
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21H05036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50577864)
佐々木 拓哉 東北大学, 薬学研究科, 教授 (70741031)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 体温 / 視床下部 / 冬眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
Qニューロンサブタイプ(Qe、Qi、Qh)の機能を解明するべく、Qrfp遺伝子にlox-Flp-loxをノックインしたマウス(Qrfp-flox-Flp)を作成した。現在、Flp発現の確認を行っている。また、AAVにより発現した蛍光タンパク質を蛍光免疫染色し、QeおよびQiでの投射先パターンの比較を解析している。また、Qニューロンの制御機構の解明として、Qrfp-iCreマウスのAVPeへAAV-DIO-GCaMP6を投与することによりGCaMP6を発現させ、ファイバーフォトメトリーによってQニューロンの活動の変化を観察し、外気温の変化に対する応答や、絶食にともなう休眠誘導におけるQニューロン活動を明らかにした。 QIH中の生理・神経機能の解析を高時間分解能で行うため、光遺伝学により長時間のQIHを誘導する実験系を構築した。OPN4(メラノプシン)を用いて微弱な光でGqシグナリングを活性化させることにより神経の興奮を試みた。また感度を上げるために不活性化に関与するC末端側のリン酸化クラスター領域を欠損させた(hOPN4dC)。Qニューロンに発現させ光照射の体温への影響を観察した。3-10 mWという極めて弱い光で体温の低下を誘導することが可能であった。24時間という長期間にわたって光照射を持続させても神経の損傷は観察されず、何度もQIH誘導が可能であった。この系を用いて、これまでにQニューロンの活性化によって体温の低下に先行して心拍数が急激に低下することを見出しており、Qニューロンの新しい機能を提唱した。さらに、光照射を終了することで30分以内に元のレベルに体温が戻ることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DREADDによるQIHは、その回復に数日以上を要し、その間、ゆっくりと回復するため、QIHが生理機能に及ぼす役割を解明するために若干使いにくい点があった。 そこで、QIH状態を高い時間分解能でオン・オフできる、光操作によるQIH誘導法を確立した。まずは、QIH導入およびQIHからの離脱時の自律神経応答を明らかにした。OPN4を改変したオプシン(OPN4dC)をもちいて、極めて微弱な光で24時間にわたりQIHを操作できるようになった。この論文が出版されているほか、上記のように今後の推進に必要なQrfp-flpOマウスを確立するなど、着実な進捗が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Qニューロンには、vGlut2陽性のQeニューロン、vGat陽性のQiニューロン、および両方を発現しているQhニューロが存在することがわかっている。そこで、それぞれのサブポピュレーションの機能と解剖学的特徴を明らかにする。上記のQrfp-Flpマウスをもちいて、Flp依存的なAAVをもちいて、hM3Dqを発現させ、QIHの誘導を確認しり。この系がうまく動けば、Qrfp-FlpマウスとvGat-ires-Creあるいは、vGlut2-ires-Creと交配し、Flp/Creの両方に依存的なAAVコンストラクト(Con/Fon)を用いて、hM3Dqを発現させ、Qe+Qhニューロンのみ、あるいは、Qi+QhニューロンのみによるQIH誘導を試みる。さらに、順行性および逆行性トレーシングを行い、QeおよびQiニューロンの入出力系を明らかにしていく予定である。一方、Q-loxP-Flp-loxマウスも確立した。このマウスをvGlut2-ires-CreやvGat-ires-Creと交配することにより、それぞれ、Qiニューロンのみ、QeニューロンのみによるQIHや、入出力系の観察が可能になる。また、Qrfp-Flpマウスをもちいて、AVPeにFlp依存的なAAVによりhM3DqやOPN4dを投与することにより、効率よくQニューロンにそれら の遺伝子を発現させることが可能になる。これにより、CreをもちいたTRAP2法を行い、ターゲットニューロンのラベルを進めていく。一方、ファイバーフォトメトリ―をもちいて、外気温の変化などに対するQニューロンの応答を明らかにしていく。さらに、Qニューロンに作用する生理活性物質をスクリーニングし、icvによる体温への影響を明らかにしていく。
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