2021 Fiscal Year Annual Research Report
Spatio-temporal variabilities and robustness in pre-implantation mammalian development
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21H05038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柊 卓志 京都大学, 高等研究院, 主任研究者 (00512477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 智之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任准教授 (60612132)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 発生生物学 / 哺乳類初期発生 / 自己組織化 / ロバストネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類の初期胚を用い、胚が空間や時間情報におけるゆらぎを乗り越えて堅牢に発生する原理を理解することを目指している。柊グループの近年の研究により、胚の形やパターンなどの空間の制御についての理解が進んできた。一方で、発生の進行における時間制御の理解については未解明の部分が多いため、まず細胞ごとの時間プログラムの進み方について調べることにした。 マウス初期胚を光シート顕微鏡でライブイメージングし、細胞を追跡して4細胞期から64細胞期までの細胞の系譜図を作成した。これにより、細胞間で分裂のタイミングにばらつきがあり、このばらつきが分裂の回を追うごとに線形に増大することがわかった。このことは分裂タイミングには細胞間で協調が存在しないことを意味している。同様の解析を、ウサギとカニクイザルの初期胚で行ったところ、マウスと同じく分裂タイミングにズレが存在すること、このズレは種によって固有の係数の元に増大することがわかった。これらは、同調分裂を繰り返すカエルやウニなどの胚と異なり、非同調分裂が哺乳類で何らかの役割を持つ特徴であることを示唆している。さらに、分裂タイミングのズレが胚の空間構造に与える影響を調べている。まずは8細胞期胚における空間構造を数学的に表現できるMorphomapを開発中で、これは細胞の輪郭にフィットするスプライン曲線を用いて画像から空間情報を抽出することができる。 また、マウス胚のサイズ制御機構が着床期に活性化する可能性があり、この課題に取り組むため、着床期胚の培養と観察の三次元系を開発した(Ichikawa et al. 2022)。これにより、着床期胚の細胞のダイナミクスを定量的に解析することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス初期胚のライブイメージング系を確立し、胚発生における時間情報、空間情報の解析が大いに進んでいる。特に、研究計画調書に記載していた、細胞分裂のタイミングの定量が完了し、空間構造の解析には革新的な数学手法を開発している。また、カニクイザル胚を用いた研究を開始し、核と細胞膜マーカーを一過的に発現するサル胚をライブイメージングすることに成功した。これにより、ヒト発生のモデルとしてのサル胚にはマウス胚とは異なる機構が存在する可能性を見出している。着床期胚の三次元培養系に関する成果は学術雑誌論文に掲載され、国内外で注目を集めている。これまで、最適な培養系が存在しないために、着床期の胚発生の研究は遅れていたが、今後サイズ制御などの未解明課題に着手できる。これらの成果は研究初年度である本年度の研究計画以上の進展であり、来年度以降も大きな成果が期待できる。 京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)において、本研究に必要な顕微鏡や画像解析環境、哺乳類胚の培養や操作などの機器が整備された。これらの状況をもとに、本研究のさらなる発展が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
8細胞期胚のMorphomapを確立し、マウス、ウサギ、カニクイザル胚の空間構造を解析する。予備的に、8細胞期の開始から終了までの間に、マウス胚が特定の空間構造へと収束する可能性を見出している。この収束を可能にする力学機構を解明し、in silicoシミュレーションを用いて説明する。また、分裂タイミングのズレが空間構造に及ぼす影響を調べるため、細胞分裂を同調させた胚をライブイメージングする。これらにより時間と空間の間の相互作用を明らかにし、胚発生の根本的な理解を導く。 また、胚が自身のサイズの逸脱を乗り越えて一定のサイズへと成長するサイズ制御機構を明らかにするため、倍加あるいは半分割した胚を作製し、その発生を解析する。胚の形態や細胞数、分化運命などを定量し、サイズの修正が着床期に起こることを確認する。 核と細胞膜のマーカーを発現するカニクイザル胚は、ヒトを含む霊長類発生の理解に大きく貢献することがわかってきた。一過的発現系ではライブイメージング中のシグナルの減衰により、32細胞期以降の発生の解析が難しいため、安定発現する遺伝子組換えサルを作出する。研究分担者の築山グループと共に、この技術開発に取り組み、サル個体を得ることを目指す。
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Research Products
(14 results)