2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of regulation of intestinal homeostasis by glycan
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21H05043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 潔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20309446)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにB3galt5、St6galnac6 KOマウスが、腸管炎症に高感受性であること、粘液層が非薄化していることを見出しており、大腸粘液バリアの障害が示唆された。今年度はそのメカニズムを、Muc2糖鎖の脱シアリル化が大腸粘液層の物性やネットワーク構造に与える影響を中心に解析した。シアル酸は陰性電荷を有し親水性を供与する事が報告されているため、初めに野生型マウスならびに両KOマウスから大腸ムチンを精製し、膜電気泳動法によって脱シアリル化によるMuc2分子の電荷への影響を解析したところ、両KOマウス由来のMuc2は陽極側への泳動度が減少しており,脱シアリル化により陰性電荷が減少している事が示唆された。次に粘液層の弾力性を原子間力顕微鏡で評価した結果,両KOマウスでは粘液層が硬くなり,潤滑性の低下が認められた。最後に大腸の粘膜表面に存在する粘液層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、KOマウスのムチンのネットワーク構造を評価した。野生型マウスの粘液層ではMuc2による多方向性のネットワーク構造が形成され,細菌の侵入を防いでいる像が観察される一方で、両KOマウスではそのネットワーク構造が特定の方向に配向し、細菌が配向性のあるMuc2ポリマーの間から侵入している像が観察された。これらの結果から、B3galt5とSt6galnac6という二つの糖転移酵素を介したMuc2糖鎖のシアリル化によって、Muc2分子の親水性が向上し、それによって粘液層の潤滑性やネットワーク構造が維持され,大腸粘液層のバリア機能が維持されるメカニズムが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
B3galt5、St6galnac6の機能解析により、ジシアリルルイスA糖鎖構造の腸管恒常性維持における役割を計画通りに明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸上皮に選択的に発現する糖転移酵素としてB3galt5、St6galnac6の機能を解析してきた。さらに、Chst4が大腸上皮に選択的に高発現する糖転移酵素として同定している。本酵素は、糖鎖に硫酸基を付加する。そこで、Chst4の機能を中心に解析し、糖鎖への硫酸基付加の意義を明らかにしていく。
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Research Products
(8 results)