2021 Fiscal Year Annual Research Report
Multilevel mechanisms of the neural network restoration under the neurological disorders
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21H05049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 俊英 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10301269)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 神経疾患 / 神経再生 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管障害、脳・脊髄の外傷などの局所中枢神経障害、神経変性疾患、高次脳機能障害などの神経疾患においては、神経系のみならず免疫系、脈管系、様々な臓器からなる生体システムに時空間的変化をきたし、病態が形成される。本研究では、中枢神経回路の障害、その後の修復過程を、生体システムの機能ネットワークの観点から解析し、生体システムの時空間ダイナミクスによる一連の過程の制御機構の統合的解明に取り組む。特に「神経回路と各臓器」の連関による制御機構を見いだすことを本研究の到達目標とする。中枢神経回路障害と機能回復の過程を、生体システム全体のダイナミクスとして捉え、神経系と各システムの連関を統合的に解析することで、中枢神経回路障害における生体の動作原理を明らかにする。げっ歯類、サル、ヒトに関する研究を並行して進め、新規治療法の開発につながるシーズの獲得を達成する。本研究により、神経科学の分野において基礎研究から応用研究にシームレスに移行する体系的な研究スキームを構築する。 皮質脊髄路は主要な随意運動の回路であり、解剖学・生理学的にも良く解析されており、臨床的にも重要である。この回路に注目して生体システムとの連関の解明を進めた。一方で、高次機能障害については大脳皮質および海馬に着目した。脊髄損傷、自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびADHDのモデルマウスを用いた。これらの病態モデルを用いて、神経障害局所および各種臓器における細胞群の動態と遺伝子発現の時空間的変化を解析した。さらに、免疫系細胞、脈管系細胞や各臓器がどのように神経回路の障害と修復を制御しているか、そのメカニズムの解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、中枢神経回路の障害、その後の修復過程を、生体システムの機能ネットワークの観点から解析し、生体システムの時空間ダイナミクスによる一連の過程の制御機構の統合的解明に取り組んだ。中枢神経回路障害と機能回復の過程を、生体システム全体のダイナミクスとして捉え、中枢神経回路障害における生体の動作原理を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、広範な神経疾患を対象として、全身の生体システム(免疫と脈管以外の各臓器を含む)の関与について戦略的に探求を進める。具体的には、脳挫傷、脳脊髄炎などの局所中枢神経障害のみならず、高次脳機能障害も研究対象とする。また「戦略的な研究の進め方」として、単一細胞レベルでの情報解析とともに、神経と生体システムの連関を全身で網羅的に観察できる最新イメージング技術を用いることがあげられる。全身を俯瞰できる透明化、超高感度MRI、全身連続切片を用いた最新生体イメージング技術を用いて、全身を俯瞰した神経―臓器機能の制御機構の解明に資する。さらに、げっ歯類、サル、ヒトの3階層の研究を並行して実施する。これまでの研究の成果を基盤として、新たな研究分野を創成することを最終目標とし、より高い到達目標を設定した研究計画を構築する。
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