2021 Fiscal Year Annual Research Report
Big Data Processing with Compressed Secure Computation
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21H05052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
定兼 邦彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20323090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 比呂志 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50315123)
清水 佳奈 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60367050)
渋谷 哲朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60396893)
申 吉浩 学習院大学, 付置研究所, 教授 (60523587)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 秘匿計算 / 簡潔データ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
データを秘匿したまま計算を行うアルゴリズムの最も基本的なものとして,ソートのアルゴリズムについて研究を行った.既存手法では,基数ソートに基づくものが提案されているが,オンライン通信量が基数 2^L に比例して増えるものであった.時間計算量は L に反比例して減るが,オンライン通信量は L に関して指数的に増えるため,L は 2 か 3 程度の値しか使用できない.本研究では,ソートアルゴリズムを実行する秘匿計算アルゴリズムで,オンライン通信量が小さいものを提案した.w ビットの数 n 個をソートする際のオンライン通信量は O(wn(1+log n/L)) であり,L に反比例して減るため,大きな L でも動作する. また,ゲノムシーケンス中の可変長パタンの検索を行うための索引の開発を行った.この手法の特徴は,オンライン計算での時間および通信計算量と通信ラウンド数がデータベースのサイズ n に依存しないことである.ヒトゲノムの一部である長さ1000万のシーケンスからの,長さ100のパタンの検索に対しては,既存手法よりも10倍以上高速になった. カーネル法は機械学習において主要な手法のひとつであり,カーネル法を秘匿計算の枠組みで利用するためには,複数のユーザが秘密に保有するデータを入力としたカーネル関数の計算を秘密を漏らさずに実行するステップを避けて通ることができない.本研究では,カーネル関数のなかで「積分型」ともよばれる広い応用をもつカーネル関数を効率的に計算するための共通の原理が存在することを発見した. 完全準同型暗号(TFHE)のための高機能ライブラリを開発した.TFHEではこれまではビット演算のみしか行うことができなかったが,これを拡張し,整数型を扱えるようにし,さらに四則/剰余演算,比較演算を可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
秘匿計算での理論研究および実装を行い,有効性を示している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より特任研究員を2名雇用し,引き続き研究を行う.決定木等を表現する木の構造を秘匿したまま計算を行うための木の表現とアルゴリズムの開発を行う.また,様々な最適化問題を動的計画法で表し,それらを暗号化したまま計算するアルゴリズムを開発する.さらに,データベースの処理の秘匿化について検討する.
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