2021 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルプラットフォーム上の消費者探索行動と競争政策:理論および実験アプローチ
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21J00008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘高 勇太 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 消費者探索 / 自己優遇 / 二刀流プラットフォーム / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタルプラットフォームを想定し、消費者探索理論の枠組みを用いて、消費者の探索行動と競争政策に関する分析を行った。具体的には、以下2つの研究を実施した。
1.他社製品に加えて自社製品を扱う独占プラットフォームが、消費者の探索順序を操作できる状況における企業間競争の分析を行った。プラットフォームが消費者を最初に自社製品へと誘導する(自己優遇)行為は、多くの場合で価格競争を歪めるため、消費者にとって望ましくない。このような状況で、垂直分離政策は厚生を常に改善するが、自己優遇のみを禁止する政策は手数料率次第ではかえって厚生を損なう可能性があることを示した。これをディスカッションペーパーとして改訂公開し(SSRN 3736574)、現在は投稿過程にある。 2. 情報探索に関わる探索デザインの違いが消費者行動に与える影響を分析した。具体的に、既存の探索実験デザインを意思決定への関与度合いに応じて受動・準能動・能動の3つに分類し、デザイン間で消費者行動に差があるかどうかを実験を通じて検証した。結果、意思決定への関与度合いが低い実験デザインほど、消費者は探索行動をより早く打ち切ること、受動デザインではリスク回避的な消費者ほどより早く探索を打ち切ることを示した。これをディスカッションペーパーとして公開し(ISER-DP 1148)、現在は投稿過程にある。
これら以外に、既存論文の改訂作業を実施するほか、企業間競争に関する2件の共同研究に参加した。うち1件がディスカッションペーパーとして公開され(SSRN 4042440)、1本が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題はおおむね順調に進展している。理由は以下の3点である。 1.当初から取り組んできた、他社製品に加えて自社製品を扱う独占プラットフォームが消費者の探索順序を操作できる状況で、探索順序を歪める(自身に誘導する)行為に関する研究については、当初の計画以上の進展を見せ、研究会・学会等で報告を重ねて現在投稿過程にある。 2.当初の計画通り、消費者探索に関する実験を実施した。これについては、実験結果をまとめ、研究会・学会等の報告を重ねた上で論文にして投稿に至るなど、計画以上の進展があった。 3. 手持ち研究を年度内に掲載する目標については、限定的な達成に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の3点である。 1. 研究計画に基づく理論・実験研究を進める。結果が得られ次第、国内外の学会・研究会で積極的に発表を行い、研究のブラッシュアップに努める。 2. これまで得られた成果に関して、より積極的な投稿活動を行って国際査読誌への掲載を目指す。 3. 関連するトピックの情報収集に努め、更なる課題進展へ繋げる。
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Research Products
(7 results)