2022 Fiscal Year Annual Research Report
Behavioral and neural basis of generation process of consciousness: approach from psychology of learning and computational modeling
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21J00063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 大 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | マーモセット / カルシウムイメージング / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、マーモセットを対象としたカルシウムイメージングを用いた神経活動記録の実験、並びに、行動実験をおこなった。また、共同研究の論文化も進めた。以下、それぞれについて説明する。 第一に、知覚的予測を計測する課題 (オドボール課題) 中の頭頂葉の神経活動記録をおこなった。昨年度も用いた静止画刺激のデータを取り足したのに加えて、聴覚刺激を用いた課題との比較、並びに、運動刺激を用いた際の神経応答の取得にも成功した。結果として、当該領域は視覚的予測と、それへの逸脱を検出する細胞群に分けることができることが明らかになってきた。データのさらなる取得に向けて、2頭のマーモセットに対して手術もおこなった。1頭については、カルシウムシグナルが検出されなかったため、他の行動実験に供与する予定である。もう1頭については、今後活動記録実験を行う。 次に、マーモセットの学習実験系の確立を行った。そのために、刺激提示、報酬提示、反応取得のための実験系を整備した。実際に、マーモセット一頭について、行動実験を行った。こちらも、前実験と同じく、視覚・聴覚刺激それぞれについて、予測学習の課題を行った (パブロフ型条件づけ)。さらに、実験パラメータの最適化のため、刺激間間隔、及び、刺激間隔を系統的に変化させ、動物の反応が最も得られやすい実験手続きの模索も行った。その結果、視覚に対しては反応が鈍く、聴覚刺激に対しては反応 (条件反応) が得られやすいことが判明した。 最後に、前年度から行っている共同研究の論文化を行った。具体的には、ドイツのルール大学ボーフムとの共同研究で、ラットのストレス誘発性の異常行動についての行動神経科学的な研究、ニューヨーク市立大学との動物の行動定量化のための加速度計の手法論文、アンカラ獣医大学と行った犬のストレスレベルと行動の個体差についての研究の3つを形にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経活動記録については、当初予定していたようにデータの取得に成功し、関連する課題との比較も行えた。論文化にはあと一頭のデータが必要であるが、その手術も完了しており、次は実験で活動記録を行う段階にある。従って、神経科学実験のパートは概ね順調に進めることができたといえる。 行動実験に関しても、条件づけ課題の確立に成功し、実際の課題を動かしつつある。こちらは、当初は視覚刺激を用いることを想定していたが、マーモセットにおいて視覚刺激への条件づけ反応が予想していたより検出することが困難であった。そこで、実験手続きの最適化のために、さまざまな刺激を用いた予備実験に時間を取られてしまった。しかし、結果として、行動実験の精緻化にもつなげることができた。 また、本年度は共同研究の成果が予想以上に成果発表につなげることができた。具体的には、国際共同研究として3つの論文を書くことができた。以上を総合的に鑑みて、本年度の進捗状況は 「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、2022年度の途中で特別研究員を中途辞退したので、特別研究員奨励費で遂行するプロジェクト自体は終了となる。しかし、北海道大学に特任助教として現在も勤務しており、同じ場所で引き続き実験を行っているため、本研究課題で立ち上げた実験は、今後も継続していく。そこで、次年度には以下の2つを完遂することを目指す。 第一に、知覚的予測課題の神経活動記録実験の論文化、あるいは、論文の投稿まで漕ぎ着けたい。現在、2頭分のデータは取得済みである。従って、残り一頭のデータを取得し、解析まで行えば、この目標は達成できると思われる。現在、手術後回復待ちのマーモセットが一頭いるため、その個体からデータが取得できたら、2023年度の前半には論文執筆に取り掛かれる。仮に、当該動物からの活動記録に失敗しても、年度前半に新たな動物を供すれば、十分に年内には間に合うスケジュールとなる。 第二に、2022年度に本格化した行動実験を引き続き展開していく。具体的には、パブロフ型条件づけ課題と、本研究課題に関連する発展系 (例えば無関連性学習) を行う。行動実験に供することのできる動物は、前年度までに十分に確保しているため、一度課題が確立したらこちらは円滑に進めることができると考えている。
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[Journal Article] Acute and chronic stress alter behavioral laterality in dogs2023
Author(s)
Salgirli Demirbas Yasemin、Isparta Sevim、Saral Begum、Keskin Yilmaz Nevra、Adiay Deniz、Matsui Hiroshi、Toere-Yargin Guelsen、Musa Saad Adam、Atilgan Durmus、Oeztuerk Hakan、Kul Bengi Cinar、Safak C. Etkin、Ocklenburg Sebastian、Guentuerkuen Onur
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 13
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Common and modality specific areas between visual and auditory mismatch negativities recorded from whole-cortical electrocorticogram (ECoG) arrays in common marmosets.2022
Author(s)
Matsui, H., Komatsu, M., Kaneko, T. Okano, H., Ichinohe, N., Yoshida, M
Organizer
第12回マーモセット研究会大会.
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[Presentation] Common areas for detecting deviation: visual and auditory mismatch negativities from whole-cortical electrocorticogram (ECoG) arrays in common marmosets.2022
Author(s)
Matsui, H., Komatsu, M., Kaneko, T. Okano, H., Ichinohe, N., Yoshida, M
Organizer
第45回日本神経科学大会 NEURO2022.
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