2021 Fiscal Year Annual Research Report
褐虫藻-サンゴ共生系における代謝動態と白化現象との相関の体系的理解
Project/Area Number |
21J00113
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 謙也 神戸大学, 先端バイオ工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 白化現象 / 酸化還元 / 代謝状態 / 光合成 / サンゴ / 褐虫藻 / シアノバクテリア / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
褐虫藻は酸素発生型光合成を行う単細胞藻類の一種で、サンゴやイソギンチャクをはじめとする無脊椎動物を宿主として共生を行うことで知られている。近年、共生している褐虫藻がサンゴから排出されてしまうというサンゴの白化現象が問題となっている。サンゴの白化は、水温が上限より数℃高い状態が続くだけで時に大規模なスケールで一斉に起こり、周辺の豊かな生態系が失われてしまう。しかし、共生系における代謝レベルから見た白化現象の分子メカニズムや数理構造は未解明のまま残されている。本研究の目的は、褐虫藻-サンゴ共生系における細胞内のレドックスや代謝変化と共生系全体の動態(白化現象)の関係を明らかにし、生態系全体の動態(白化現象)の予測に重要な代謝および数理的ファクターを見つけることである。 白化現象の進行には活性酸素種によるストレスが関係していると考えられている。そこで、本研究では白化が始まる過渡期のレドックス状態変化の理解が、白化現象の進行の理解に重要と考え、細胞内代謝物の中でもNAD(P)、グルタチオンのレドックス状態を中心に解析を行う。この解析実施を目指し、サンゴにおけるNAD(P)、グルタチオンのレドックス状態の正確な定量系を確立する必要がある。そこで2021年度には、もっとも単純な光合成微生物のシアノバクテリアをモデルとして、13C同位体内部標準を用いた正確な代謝物定量系を立ち上げた。このシステムでは、代謝物抽出処理における酸素などによる酸化や検出時のイオンサプレッション効果などの人為的な影響を排除でき、正確なレドックス定量が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はシアノバクテリアにおける代謝測定技術の開発と解析を行ったが、それを活かした褐虫藻およびサンゴの解析には至っていない。この原因としてシアノバクテリアでの代謝解析技術の深掘りに時間がかかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2021年度に習得した代謝解析技術を活かし、褐虫藻およびサンゴの代謝解析を行う予定である。そのためにサンゴの実験系の構築を行う予定である。
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Research Products
(9 results)