2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction Methods for inverse scattering problems including uncertainty
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21J00119
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
古屋 貴士 島根大学, 学術研究院機能強化推進学系, 助教
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 偏微分方程式 / 散乱逆問題 / カルマンフィルタ / Levenberg-Marquardt 法 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏微分方程式の逆問題とは, 方程式の解の情報から方程式の係数関数を求める問題である. これは, 非破壊検査の探傷器, 医療診断のトモグラフィーなどの非観測物の可視化に関するテクノロジーへの発展が期待されている重要な数学的問題である. 本研究では, 全領域上のヘルムホルツ方程式に対する散乱逆問題, つまり, 入射波による散乱振幅から散乱を引き起こした原因である媒質係数関数を求める逆問題の再構成に関する研究成果を得た. まず第一に, 散乱振幅列全体に対するLevenberg-Marquardt法による再構成と, 逐次散乱振幅に対するカルマンフィルタ法による再構成が同等であることを示した. これによって,と逐次的に観測データが得られる状況においても, 散乱逆問題の再構成でしばし用いられる観測全体に対するLevenberg-Marquardt法と同値な再構成が可能となった. さらに, 非線形問題に適応可能な拡張カルマンフィルタ法を用いて, 新たに散乱逆問題に対する再構成法を提案し, 2つの再構成法の数値実験を行った. 前者(Levenberg-Marquardt法と同値な方法)の再構成法は, 収束が遅いが, ノイズに対して頑強性があり, 逆に, 後者(拡張カルマンフィルタ法)は, 収束が早いが, ノイズに対して敏感であることを確認した. これは, Levenberg-Marquardt法はTikhonov正則化を強く反映していること, 拡張カルマンフィルタ法は多くの線形化を含むことという観点から構成方法的にも納得する現象である. この研究は, 新しい再構成の提案と数値実験が主であったが, 今後は, この2つのアルゴリズムに対する収束性やノイズ頑強性の理論解析に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の結果に関しては, 論文執筆を終え, 専門誌「Inverse Problems」に採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の成果では, 提案した再構成アルゴリズムの収束速さやノイズ頑強性などを数値実験的に考察したもので, 提案アルゴリズムの収束性や頑強性の理論解析は今後の取り組むべき課題である.
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