2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction Methods for inverse scattering problems including uncertainty
Project/Area Number |
21J00119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古屋 貴士 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 偏微分方程式 / 逆問題 / Calderon問題 / Levenberg-Marquardt 法 / Neumann-Dirichlet写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏微分方程式の逆問題とは, 方程式の解の情報から方程式の係数関数を求める問題である. これは, 非破壊検査の探傷器, 医療診断のトモグラフィーなどの非観測物の可視化に関するテクノロジーへの発展が期待されている重要な数学的問題である. 本研究では, 2次元有界領域上の非等方導電体方程式に対するCalderon問題(境界におけるNeumann-Dirichlet写像から非等方導電係数を求める偏微分方程式の逆問題)について考える. 非等方導電体方程式の逆問題は, 応用上に重要(例えば地下の岩盤や地層)であるにもかかわらず, 数学解析として複雑で, 等方導電体に比べて研究が少ない. 本研究では, 導電係数が平行四辺形もしくは台形分割に関して区分的に定数非等方的(有界領域が平行四辺形もしくは台形分割され, その各四角形セル上で導電係数が定数対称行列)と仮定した場合, Neumann-Dirichlet 写像から確率1で Landweber 法や Levenberg-Marquardt 法などの反復法による導電係数が再構成可能であることを示した. 証明のアイデアとしては, 導電体方程式のグリーン関数の特異点を四角形分割された角に近づけることで起こる発散具合を解析することを行た. これは今までのCalderon問題において類を見ないアイデアである. 上記の結果はNeumann-Dirichlet写像を与えた設定であり, これは, 無限個のデータを観測することに相当している. 一方で, 非等方導電係数関数を区分的に定数と仮定しているため有限次元空間に属しているため, 過剰な観測データを与えている設定である. より現実的な設定を考慮するためにも, 今後は有限回観測(有限個のCauchyデータ)から区分的に定数な非等方導電係数を求める設定の逆問題研究を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の結果に関しては, 論文執筆を終え, 専門誌「Inverse Problems」に採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果は無限個のcauchy dataを観測することに相当するNeumann-Dirichlet写像を与えているのに対して, 区分的に定数な非等方導電係数は有限次元空間に属しており, 過剰な観測データを与えている可能性がある. より現実的な設定を考慮するためにも, 今後は有限個のcauchy dataから区分的に定数な非等方導電係数を再構成する研究を行う.
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