2021 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマーカーと宇宙線生成核種から解き明かす温暖期の急激な気候寒冷化のメカニズム
Project/Area Number |
21J00133
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
梶田 展人 国立極地研究所, 教育研究系地圏研究グループ, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 更新世 / 間氷期 / 上総層群 / 下総層群 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、将来の気候変動予測に役立てるために、過去の間氷期に発生した急激な寒冷化イベントの原因を明らかにすることである。特に、地磁気が弱化する際に宇宙線入射量が増加する現象に起因する環境変動や生態系変動に注目し、地磁気が大きく弱まった過去の地磁気逆転期の気候変動を解析する。 過去の間氷期に形成された海成層である、下総・上総層群を研究対象とし、バイオマーカーを分析することで、気候変動について詳細に復元する。同時に、宇宙線生成核種の濃度と古地磁気強度の分析を行うことで、銀河宇宙線入射量の変動を復元する。 本年度は、海洋酸素同位体比ステージ31に相当する、上総層群大田代層の試料に対してバイオマーカー解析を行い、氷期―間氷期の気候変動を捉えることに成功した。この結果は、Communications Earth&Environment誌に受理された。同層準について、宇宙線生成核種の分析も行い、次年度以降に論文化を目指す。次に、海洋酸素同位体比ステージ19に相当する、上総層群国本層(千葉複合セクション)バイオマーカー解析を行った。この結果は次年度以降に論文化を目指す。さらに、下総層群においては、海洋酸素同位体比ステージ5, 7, 9, 11の地層からバイオマーカーを用いて古環境を復元した。この結果は、Progress in Earth and Planetary Science誌にて査読中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り試料の採取・入手を行えている。分析も順調に進んでおり、論文投稿の準備を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、バイオマーカーによる古環境分析が完了次第、宇宙線生成核種を用いた地磁気強度復元に臨む。両者のデータを比較して気候変動と地磁気逆転の関係について迫る。
|
Research Products
(2 results)