2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力波が電子スピンに及ぼす影響とその重力波観測への応用
Project/Area Number |
21J00162
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 飛鳥 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | g因子と重力効果 / 磁気モーメントと重力効果 / アクシオンダークマター / マグノン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、電子あるいはミューオンのg因子測定における地球重力の影響について研究した。結果として、地球の重力効果の内、自転が及ぼす影響が最も大きいことを明らかにした。地球の自転の効果は、現在の電子/ミューオンg因子測定実験の感度には届いていないので無視できるが、近い将来には測定可能であろうことも示した。この研究成果は、論文として学術雑誌Classical and Quantum Gravityに投稿されている。 Asuka Ito, "Inertial and gravitational effects on a geonium atom," Class. Quantum Grav. 38 (2021) 195015.
また電子スピンに関連する現象の発展的な研究として、アクシオンダークマターによる電子スピン励起現象の量子非破壊測定に関して理論的定式化を行った。さらに実際の実験データを用いて、アクシオン-電子相互作用に実験的制限を与えることに成功した。これらの研究成果は論文としてPhysical Review Dに投稿されている。 Tomonori Ikeda, Asuka Ito, Kentaro Miuchi, Jiro Soda, Hisaya Kurashige, Yutaka Shikano, "Axion search with quantum nondemolition detection of magnons," Physical Review D (2022).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、重力がフェルミオンのスピンに及ぼす影響について、摂動の範囲で一般的な理論的定式化に成功した。その具体的な応用例として、地球重力が電子あるいはミューオンのg因子測定に及ぼす影響について定量的な評価を与えることに成功した。
また当初の研究計画になかった研究も進めることができて、アクシオンダークマターによる電子スピン励起現象の量子非破壊測定に対して理論的定式化を行った。さらに実際の実験データを用いて、アクシオン-電子相互作用に実験的制限を与えることにも成功した。 これらの研究成果から、当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、重力波観測における重力波偏光の検出理論について研究していく予定である。また得られた検出理論を用いた、各修正重力理論への制限についても示唆を与えていきたい。
|
Research Products
(13 results)