2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and characterization of novel mammalian phospholipase C
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21J00197
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
村上 千明 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特別研究員(PD) (20908909)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼC / グリセロリン脂質 / ジアシルグリセロール / スフィンゴミエリン合成酵素 / ホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC / 脂質生物学 / 生理活性脂質 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスホリパーゼC(PLC)は,グリセロリン脂質を加水分解し,脂質セカンドメッセンジャーの一種であるジアシルグリセロール(DG)を産生する酵素群である.哺乳類のPLCで,ホスファチジルイノシトール4,5二リン酸(PIP2)を基質とするPIP2特異的PLCはクローニングされ,多くの研究者が注目している.しかし,ホスファチジルコリン(PC)やホスファチジルエタノールアミン(PE)を基質とするPLCは,哺乳類にて活性発見後40年以上分子実体(遺伝子)が不明であった. 最近,我々は,スフィンゴミエリン合成酵素関連タンパク質 (SMSr)がPE,PC,ホスファチジルイノシトール(PI)等を加水分解しDGを産生するmulti-glycerophospholipid PLC hydrolase(MG-PLC)活性を示す「新タイプのPLC」であることを発見した.本研究ではSMSr/MG-PLCの機能解析を行い,MG-PLCの分子機構を明らかにすることを目的とした. 本年度の主な成果として,SMSr/MG-PLCアイソフォームを2種発見した点である.哺乳類SMSrの遺伝子(遺伝子名,SAMD8)を多重配列アライメントで比較したところ,ヒトSMSr(415アミノ酸)は,マウス,ラット,ボノボ等の他のSMSr(478アミノ酸)と比較して,N末端の63アミノ酸が短いことが明らかとなった.このことから,ヒトSMSrには複数のアイソフォーム(スプライスバリアント)が存在するのではないかと考え,ヒトSMSr(SAMD8遺伝子)の開始コドンの上流を調べた.その結果,ヒトSMSr (SMSr1と命名)の開始コドン上流(5’側)に他の哺乳類SMSrのコーディング領域と相同性の高い配列を発見した.さらに,その上流に開始コドンの可能性が高い配列を見出した.ヒトcDNAを鋳型にPCRで候補SMSrを増幅した結果,他の哺乳類SMSrと相同性の高いバリアント(478アミノ酸,SMSr2と命名)および,SMSr2のN末端に65アミノ酸が挿入されたバリアント(543アミノ酸,SMSr3と命名)を同定するに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,SMSr/MG-PLCノックアウトマウスおよびノックアウト細胞の樹立を初年度に実施する予定であった.しかし,受入研究機関で火災が発生し,研究の遅延が生じた.この対応として,転籍先の研究機関で樹立を試みる. また,研究計画を一部変更した結果,上述の発見(新規SMSr-/MG-PLCアイソフォームの同定)に至った.以上より,当初計画に遅れがあるものの,上述の発見から新たな研究展開が期待できるため,「おおむね順調に進展している。」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り,当初計画通りに進まない項目があった一方で,予期せぬ発見(新規SMSr-/MG-PLCアイソフォームの同定)があった. そこで,次年度はノックアウトマウスの樹立を試みると共に,新規SMSr/MG-PLCの機能解析を行う.具体的に,組織局在,細胞内局在,酵素活性の違いは無いのか等を比較する予定である.
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Research Products
(17 results)